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女子デザイナーの歩き方 第82回
いろいろモノを作るさま
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


2014年11月アップの本コラム第77回「モノ作りの現場体験」がきっかけで、pdwebコラムでお隣の大谷さんとお仕事することになりました。と、前号でここに書いたのです。昨今増えているモノ作りのスペースにフォーカスした本を作るのです。早速取材に回っております。

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テクノロジーライターの大谷さんとは私がインハウスデザイナーしていた頃にカメラデザインの取材でお話して以来のご縁です。それまでも「日本一アップルに近い」という噂は伺ってました。

アップルだけでなく、モノからモノを作る人の工夫や努力を読み取るのが上手というか、身内が見逃したり敢えてコメントしないディテールまでちゃんとポジティブな感想を言っていただける。勇気をいただきましたよ。東京出身ですが今は大阪を拠点に活動しているけどちょくちょく上京されているようだし、ワークショップの仕事が最近多いような。本を作るにあたって、編集方針打ち合わせで4年ぶりくらいにお会いした、きびきびとイキイキと穏やかにお話する様は相変わらず。

家庭用3Dプリンタを「家庭用カラープリンタの黎明期と同じ」と見て、早速kickstarterで初期タイプを買ってモデリングしている。デザインの人じゃないしフリーウェアでちょちょっとアレンジというのがポリシー。趣味で3Dプリンタを自宅に買って活用している人初めて会った。
https://www.kickstarter.com/projects/search?term=3d+printer

ワークショップのお土産にロゴに厚み付けてキーホルダーを作ったり、中国のモデリング樹脂は成形してから反ったりスパゲティみたいにぐにぐに暴走する、と楽しそうだ。

いわゆるアーリーアダプターという人種だ。私なら「メンテが大変、場所取りそう、匂いが出そう、すぐ飽きる」とか言い訳するところだが、ぱっと買ってちょこちょこ使う。3Doodlerもやっぱり持っているそうで、フロッグデザインのエスリンガー氏(初期Macのデザイナー!)と会う時の記念品で小さな雨蛙のオブジェを作ったり。
http://the3doodler.jp/

100均ショップに行っては工作のネタを探して、LEDライトに3Dプリンタでアタッチメント作って自転車用に改造したりプラレールの駆動入りの車両で何が作れるか、あれこれ考えるのが楽しいそうだ。「これとこれを組み合わせたらこんなのできるかなってすぐ作ってみる」、永遠の工作少年あるいは生まれついてのラピッドプロトタイプメーカー。
http://onigiriface.com/daiso-toys.html

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私のモノ作り(画を描く、料理、編み物を除いて)は「手順を教えてもらってやってみる」単発の手芸工芸体験が多いか。

モノを買うだけでなく、イベント性として作り方やコツが分かるの、お得な気がする。やったことないけどやってみるならやってみたいと思った今でしょ。作ってみてプロのすご技に改めて感服したり、素材と技法の絶妙なマッチングに感心したり。知らないことを教わって、自分の理解力や謙虚さや根気、脳から手に命令がスムーズに伝わるのか試してみる。時間制限の中で自分の納得いくところに納める見切り目線も必要か。頭のスイッチをバチンと切り替えて全力無心でモノ作りに没入する。

美しい専用の道具の揃った整った環境で、優しい先生やシュッとした若い職人先生が助けてくれて得られる適度な達成感、満たされる向上心、できあがったモノへの愛着、ちょっと誉められたり、贅沢だ。

一期一会の体験講座とは別に、絞り込んで腰を据えて悩んで深めて究めてマンネリを超えて、苦しいのか楽しいのかわからない楽しさもありますね。3Dモデリングでサーフェイスをちくちく貼ったり綴じたり、気分は手芸となだめつつ苦しむあの感じ。

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モノ作り=デザイナーではなく、誰でもできる、楽しめる。

自分の母親の世代(昭和一桁生まれ)のお母さんは家にミシンがあって自分や子供の服を縫い、ガス会社のクッキングスクールや「きょうの料理」でレパートリー数を増やした人が多い。倹約が動機なのか、理想の家庭人像の体現なのか、ミシンやガス機器を売る戦略か、作り方が掲載された創作欲をそそる雑誌の影響か。

そういえば「日曜大工110番」とか「できるかな」とか作る系番組観てたなあ。
http://www5.janome.co.jp/sewing-class/
http://www.tg-cooking.jp/about.php
https://www.youtube.com/watch?v=1K44Q-oZfXY
https://www.youtube.com/watch?v=RSlVCmDPrCo

私が社会人になったバブル期はちょっと手作り=垢抜けない貧乏くさい、あるいはカルチャーセンターで手習い=お年寄りの趣味、といったネガティブ気味なニュアンスがあった気がする。「作る」が表舞台に出てきたのは「ワークショップ」というのを学校や美術館、企業でやるようになった、あるいはネイルアートが大流行して普通のおねーさんがレジンとか使うようになってからか。

今はセンスのいい人(が多くてびっくりする)がお金と時間をかけて作った完成度の高い作品をネットやイベントで作って販売している。コミケ同様アマチュアとかプロとかなくなって自由にやってるのだな。
http://www.creema.jp/

大谷さんと分担して取材をはじめてみると、「モノ作り」の領域が広いので、各スペースのコンセプトがそのまま特徴として現れていることを実感する。伝統工芸系、美術のアトリエ系、IT企業が起業支援をビジネスにする、等。また手で作ることにこだわるか、コンピュータを活用したサービスでモノ作りをするか。オリジナル/カスタマイズか忠実な技法の修得か。

お子様の夏休み自由研究に向けて、今度の初夏には本になる予定。でき上がったらお知らせいたします。

 


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