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▲写真1:ブリッジ・コーポレーション「NEOJIN」
http://www.neojin.jp/(クリックで拡大)

今、気になるプロダクト その42
鼻パッドのないメガネは標準の1つになり得るか
ブリッジ・コーポレーション「Neojin」をめぐって


納富廉邦
フリーライター。デザイン、文具、家電、パソコン、デジカメ、革小物、万年筆といったモノに対するレビューや選び方、使いこなしなどを中心に執筆。「All About」「GoodsPress」「Get Navi」「Real Design」「GQ Japan」「モノ・マガジン」「日経 おとなのOFF」など多くの雑誌やメディアに寄稿。

●傘とメガネは進化を極めた?

傘同様、メガネもこの世に誕生してから今まで、その基本部分にまったく変化のないプロジェクトだ。レンズを目の前に固定する方法に、それほど多くのアイデアがあるとも思えず、いくつかの変種はあっても、目の前にレンズを固定するために、耳と鼻の3点を使う、という方法は、とても自然でスムーズだ。それこそ、雨を避けるために、頭の上に傘を固定するというスタイルと同じくらい、とてもプリミティブで、それだけに、新しいソリューションが見つかりにくい。

傘が、その構造上、とても風に弱いのに対して、最近は台風やゲリラ豪雨などの強風の中の雨が増え、ようやく、「風にも強い傘」という構造の矛盾を解決する必要性にかられ「BLANT」などの風対策のための新しい構造を持つ傘が生まれた。つまり、従来のシステムでは対応できなくならないと、なかなか新しいアイデアは生まれないようで、メガネのような、やたら完成度が高く、代替品としてのコンタクトレンズとの併用で、普段使いにほぼ不満がない状態だと、新しいと言っても、素材やレンズといったディテールでの進化に留まってしまうのも分からないではない。

実際、傘にしても、例えば布にコーティングする撥水剤や、軽くて強度の高い骨、自動開閉などなど、ディテールは驚くほど進歩しているのだ。メガネにしても、9999のように、強度と軽さを追求するためのさまざまなアイデアを技術として注ぎ込んだ製品を作るメーカーはたくさんある。レンズの周りをさらにレンズで囲んで、そこに直接弦を装着して、とにかく軽くしたメガネもあるし、鼻パッドの精度を上げ、素材を吟味して、鼻にかかる負担を減らしている鼻パッドのメーカーだってある。ファッション性や素材とレンズだけがメガネではないのだ。

それらの、新しいアイデアで作られたメガネを俯瞰してみると、どれも、基本は、いかに身体に負担を掛けないか、という点に集約されるのが分かる。特に、鼻にかかる負担を減らす、というのが、大きなポイントになっている。それについて抜本的な解決をしたと考えられるのが、ブリッジ・コーポレーションの鼻パッドのないメガネ「Neojin」(写真02)シリーズだろう。何と言っても、鼻パッドがないのだ。鼻で固定しないメガネなのだから、それは鼻にかかる負担は小さい、というかゼロである。だって、鼻に何もあたってないのだから。

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▲写真2:ブリッジ・コーポレーション「NEOJIN NJ2315」。鼻パッドがなく、左右の弦の途中にあるパッドを頬骨の上に引っ掛けて使用する。(クリックで拡大)











●「Neojin」の発想

では、どこで固定しているかと言うと、弦の途中に下方に向けたパッドがあって、これを頬骨の上に引っ掛けて留めている。つまり、耳と頬骨、左右計4点で固定しているわけだ(写真03)。だから、顔の前面に関してはまったくメガネに触れることがない。これは、本当に快適で、ものの30分も掛けているだけで、鼻パッド付きのメガネには戻れなくなるくらいの快適さ。特に、筆者のような度の強いメガネの場合、いくらフレームが軽くて、最近のレンズが軽くても、どうしても厚みがあるので、レンズはそれなりの重さになってしまう。その重さを鼻で受け止めないでいられるというのは、それだけで、とても助かるのだ。

アイデア自体はシンプルだが、開発したブリッジ・コーポレーションの社長によると、「思いついてから実際に商品化するのに3年以上かかった」という。自分で使いながら細部を調整していったのだそうだが、それだけに、完成度が高いと言うか、かなり珍しい形の製品にも関わらず、すぐに実用的に使えると言うか、最初から快適だ。鼻に当たらないから楽というだけでなく、鼻に当てなくても良いということは、目からレンズまでの距離を少し長めに取れるということで、筆者のようにまつげが長い場合、レンズにまつげが当たらず、それも快適。また、女性の場合は化粧の乱れを気にしなくてよいし、レンズが内側からは汚れにくいのも助かる。

メガネの調整も、頬骨にあてるパッドの位置を調整(写真04)するだけなので、ねじ回しなどの工具も要らず、鏡など見ながら自分で行えるのだ。パッドから伸びる針金を自分で曲げて位置を調整するだけなので、数回の試行錯誤で、素人でも簡単。要は、痛くなくて、見えやすくて、中心があっている箇所にパッドが来るようにするだけだから、体調や、その時の好みによってチョコチョコ変えるのも楽しいのだ。調整を自分で行うというのは、不安もあったけれど、見え方というのは、「ここが最高!」とデジタル的に分かるわけではなく、従来の、ある程度合わせてもらって、メガネを調整、再びチェックというやり方では、もうどれが正解か自分でも分からなくなることが多かった筆者には、チョコチョコと自分で動かせる方が、いい感じに調整できた。

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▲写真3:装着例。こんな風に掛ける。掛けていると、パッドはほとんど目立たない。また、この位置はあまり敏感ではないのか、装着時の違和感は少ない。(クリックで拡大)



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▲写真4:パッドが付いている金属部分を指で曲げ伸ばしして、最適な位置を探る。ユーザーが自分で動かせるのはありがたい。(クリックで拡大)






●快適な日常生活のために

もちろん、メガネは、もう長い間、耳と鼻で固定して使うツールで、それがこれだけの時間を経て、なお変わっていないと言うことは、それなりの理由と言うか、歴史が証明した良さがあるわけで、その大きな理由の1つは、三角で固定することによる安定感。あの安定感があるからこそ、メガネを掛けたまま走ることもできる。もちろん、「Neojin」も、走ったくらいではメガネが落ちることはない。だが、かなり揺れるのだ。また、頬骨で引っ掛けて留めているだけなので、汗をかいたりするとパッドが滑ってメガネがずり落ちやすくなってしまう。あと、これは、他のNeojinユーザーはそんなことはないと言ったので筆者だけの問題かも知れないけれど、ものを食べる時の口の動きでも、結構視界が揺れることがある。揺れると言っても、走った時のような酔うような揺れではないが、動くので、やはりずり落ちやすくなるのだ。
つまり、この「Neojin」は、基本的な日常生活の中で快適に掛けられるものの、運動などには向いていないということ。しかし、その分、デスクワークなどでは、今までに比べて集中力の持続時間が長くなるし、長時間の作業や読書が、とても楽になった。顔の前にモノが当たっていない解放感は、長時間の作業になればなるほど威力を発揮する。また、小さな部分では、鼻パッドがないので、レンズを拭く時に邪魔になる部分がなく、とても楽にキレイにレンズを拭くことができる(写真05)。メガネを掛けたまま横向きで寝た状態でも、鼻が押されず、快適に本が読めたのも嬉しかった。

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▲写真5:レンズ全体が露出している構造なので、隅々まで簡単に拭くことができる。これが思った以上に気持ちいい。(クリックで拡大)









●従来とは別の一歩を踏み出したメガネ

他にも、レンズと目の位置関係もパッド位置で設定できるため、遠近両用レンズなどを使う際に、どちらか専用の角度に設定することも簡単。そういったことがシンプルなアイデアで実現しているのが面白いと思うのだ。しかも、言わないと誰も鼻パッドがないことに気が付かないので、特に恥ずかしいこともない。折畳みも、従来のメガネ同様(写真06)。これがメガネの完成形とは言わないが、明らかに、従来のメガネとは別の可能性を示した製品だし、現在、筆者は3週間ほど、このメガネを掛けて生活しているが、前のメガネに戻そうと思ったことはまだない。明らかに、筆者の生活の中では、「Neojin」の方が楽なのだ。

東京なら、日本橋三越メガネサロンや神保町の三省堂書店内れんず屋他、関東に44店舗、関西に73店舗、九州20店舗など、取扱店もある(Neojinホームページに詳しい・写真07)。まず、掛けてみないと分からない部分も多いと思うので、気になる人はとにかく試してほしい。これ、かなりのイノベーションだと個人的には思っているし、これが売れることで、この方面のアイデアがどんどん出てくると面白いし、嬉しい。長く続いたアイデアが、新しいアイデアに拮抗される、そういう状況は、さらに新しいものが登場する可能性を広げると思うのだ。

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▲写真6:弦を折り畳んでも、パッドは邪魔にならない。付属のケースもコンパクトで使いやすいデザイン。(クリックで拡大)



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▲写真7:ホームページには、取り扱い店舗一覧他、通販の方法、カタログなど、必要充分な情報が揃っている。










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