pdweb
無題ドキュメント スペシャル
インタビュー
コラム
レビュー
事例
テクニック
ニュース

無題ドキュメント データ/リンク
編集後記
お問い合わせ

旧pdweb

ProCameraman.jp

ご利用について
広告掲載のご案内
プライバシーについて
会社概要

コラム
イラストリレーコラム:若手デザイナーの眼差し

第155回 志摩 健/デザイナー

このコラムページでは、若手デザイナーの皆さんの声をどんどん紹介いたします。作品が放つメッセージだけではない、若手デザイナーの想いや目指すところなどを、ご自身の言葉で語っていただきます。





●はじめに

「苔のむすまで」:小石が成長して大きな岩となり、それに苔が生えるように限りない悠久の年月を可視的なイメージとして表現したさま。

「moss.」は、インテリア、建築など、空間づくりに関わるものごとを提案するクリエイティブスタジオとして設立をしました。mossとはモス、苔を意味する言葉からきています。環境に適応し、縦横無尽に広がり、そしてむしていく苔のように、仕事を通してさまざまな方たちと出会い、一緒にクリエイティブなものづくりや時間を通して成長し、悠久な時間を過ごしていきたい。質朴で心地いいデザインを提供していきたい。そんな思い込めてこの名前をつけました。

生活様式が変わり、建築、インテリアのあり方がさらに多様化するこれからの時代。関わる方、あるいはそれを目にした方が、心地よく気持ちが高鳴るようなものづくり、ことづくりを心がけてまいります

●空気感をデザインする

デザインはアートではなく、あくまでクライアントに対して存在するものです。強いフィロソフィーやコンセプトを打ち出すことも大事ですが、そこを事務所として声高に叫ぶことは、あまり僕は好きではありません。その中で私たちがデザインの軸として心がけていることは質朴な空気感を感じさせることです。

ひとたび完成した空間に足を踏み入れた時に、澄んだ空気がその人を包むこと。空間がegoisticにならず、自然と人のそばに存在すること。与えらた空間に対して敬意を払い失礼がないこと。1枚の写真を撮った時に、素材の手触り、光のゆらめき、植栽の雄弁さ、家具の親和性、匂い、温度、それらが絶妙なバランスを持って成立し、表層の先にある空間の1シーンとしてのバランスがすぐれていること。

それらがとても大切だと感じますし、そんな空間を作り続けていたいです。上記にあげたことがそことなく、下にあるそれぞれのプロジェクトの写真から感じていただければ幸いです。

▲オフィス「For Startups」(2024年) Ph:Koji Fujii(TOREAL)。(クリックで拡大)




▲教育施設「Kuwasawa Design School」(2023年)Ph:Koji Fujii(TOREAL)。(クリックで拡大)


▲ファニチャーショップ「stoop」(2025年) Ph:Koji Fujii(TOREAL)。(クリックで拡大)




▲集合住宅「PATIO Komaoka」(2022年) Ph:Koji Fujii(TOREAL)。(クリックで拡大)




▲オフィス「M Office」(2022年) Ph:Koji Fujii(TOREAL)。(クリックで拡大)


▲住宅「N house」(2021年) Ph:Koji Fujii(TOREAL)。(クリックで拡大)




▲オフィス「T Office」(2022年) Ph:Koji Fujii(TOREAL)。(クリックで拡大)








●必要な素養と価値観

建築や空間デザインの領域は他業界よりもまだじんわりと変化する時間軸で動く業界だと思います。

独立するにしても組織の中でやっていくにしても、日々の地道な活動の延長線上に、時間をかけて自分のスタイルや技術を確立していくことになります。

ただ、そうした時のインプットの仕方には工夫の余地があります。いろいろなものをひたすらに見るという時期も大事ではありますが、そこからもう一歩進めて、空間でもプロダクトでも気持ちがいいなと思う基準を、自分の価値観として持つことは特に重要だと思います。

今は僕が学生だった時よりもはるかに情報が溢れていて、調べるとすぐに表面的な情報にアクセスすることは可能です。ただ、実際に足を運んでみて自分の目で見ることで、これは心地よいとか、こっちは自分にはあまり必要のないなといったように、情報を取捨選択できるようになることが、これからの時代は大事だなと思っています。

いろいろなものをインプットして、それをアウトプットに生かさなければいけない仕事なので、それらを吸収できる柔軟性は持ちつつも、何故それがいいのかを言語化したり、判断するための価値観を持っておくと、造形力や自分が気持ちいいもの、美しいものを探求していけるようになり、それが肌感覚で掴めてくると、作り出すものに対してもクライアントに対しても説得力が出てきます。



志摩 健(しま たけし)
:1987年、神奈川県横須賀市生まれ。2009年、スペースデザイン専攻を卒業し、株式会社We+F Vision(2009年~2011年)、株式会社arflex japan(2011年~2017年)、株式会社DRAFT(2017年~2019年)へ勤務。2020年にmoss.を設立し、建築など空間づくりを軸に、苔むすように悠久な時を過ごせる質朴で心地の良いデザイン目指す。2022年より桑沢デザイン研究所非常勤講師。

moss.
:Like a moss,we adapt to the environment spreads endlessly.
インテリア、建築など空間づくりを軸に、苔がむしていくように、悠久な時を過ごせる質朴で心地の良いデザインを提供するクリエイティブスタジオ。オフィス、住宅、店舗、ホテルなど多岐の空間領域に渡り活動中。


2025年4月28日更新。次回は堀口真貴乃さんの予定です。

 


 


Copyright (c)2007 colors ltd. All rights reserved