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コラム
イラストリレーコラム:若手デザイナーの眼差し

第87回 外林健太
http://leap-japan.com/

このコラムページでは、若手デザイナーの皆さんの声をどんどん紹介いたします。作品が放つメッセージだけではない、若手デザイナーの想いや目指すところなどを、ご自身の言葉で語っていただきます。


衣装デザイナーの外林健太と申します。ご紹介いただいた澤田さんとは武蔵野美術大学の同級生で、同じゼミでした。よく作品について熱く語り合った覚えがあります。小柄な彼女から作り出すパワフルな作品にいつも感化されていました。

実は私の肩書きは、衣装デザイナー兼フォトグラファーとしております。初対面の方には、どちらが本職ですかと問われることも多々あるのですが、私としてはビジュアルを作り上げる上ではあまり分けて考えてなく、たまたまどちらもの技術を取得したということだと思っております。しかしながら、今回いただいた本コラムは「デザイン」についてということですので、「衣装」をデザインすることに関して書こうと思います。

●アパレル衣服ではなく衣装
元々はアパレルブランドに興味があり上京したのですが、既製服、ビジネスという感覚より、表現したいとい気持ちが大きく、その媒体が服になっていきました。卒業後、舞台衣装に携わる機会があり、私の方向性が決まったのかなと思っています。

現在は主に音楽アーティスト、アイドルの衣装の仕事がメインとなっております。直接的な衣服としての商品ではなく、今回このアーティストをどういった雰囲気で表に出すのか、どういったイメージで曲を出すのかに対し、関わるスタッフでコンセプトを決め、そこに向かって衣装を考えます。 時代性は考えなくてはいけませんが、流行りや季節などにとらわれず、表現したいところに向かって、過度な表現を詰め込むことができます。

実際そういった表現をできる場はたくさんあると思いますが、最終的に人間が身にまとうことにも意味があると思います。ただの1枚の布でさえ、人が羽織れば衣装になると言うと分かりやすいと思います。舞台衣装をしているときに学んだとこなのですが、キャラクターやその場面に対して大事な表現であれば、衣服としての機能を超えても問題はなく、人はそれを着こなせるだけの能力、表現力があって新しいものが生まれるものがあると思います。そういったところの可能性に楽しさ、やりがいを感じています。



▲BiSH「CARROTS_and_STiCKS」の衣装。(クリックで拡大)



BiSH「STiCKS」の衣装。(クリックで拡大)




▲EMPiRE「success story」の衣装 。(クリックで拡大)


●アーティストの衣装デザイン
私の仕事は音楽系の中でもバンドではなく、歌って踊ってライブをする一般的にアイドルと言われるアーティストの衣装です。デザイン上考えなくてはいけないことがあり、そのことについてもう少しお話ししたいと思います。

まず、仕事をいただく時点では、新曲の発表に伴ってCDジャケット写真に使用する衣装、アーティスト写真に使用する衣装の話から始まります。事務所のマネージャー、プロデューサー、レーベルの担当ディレクター、ジャケットデザインを担当するアートディレクターの間で1つの方向性、コンセプトが決まります。

その表現に向かって衣装デザインを考えます。この衣装が発表された際に一番出回るのは写真(グラフィック)です。なので、平面で着こなした良さを追求したデザインにします。衣装も1つの表現材料だと考えているので、アーティストを邪魔しない程度に衣装デザインにも豊富な情報量のあるものを考えています。雑誌や広告で一目見ただけで印象に残るものを目指しています。

その後、その衣装を着てライブを行います。そのためには、踊ることのできる動きやすいデザイン、動いたときにも印象に残るように背面にも気を使ったり、動きのある布を仕込むなどのデザインをしなければなりません。

シルエットや形のデザインを考える上で、平面と動きという2極を混じり合わせたものを作り上げないところにデザイン力がかなり必要になると思っています。実際は、ジャケット写真やアーティスト写真も私に撮らせていただくことが多く、アーティストのビジュアル表現においては、充実した仕事をさせていただいております。



▲BiSH「CARROTS and STiCKS」の衣装スケッチ。(クリックで拡大)



BiSH「STiCKS」の衣装スケッチ。(クリックで拡大)




▲EMPiRE「success story」の衣装スケッチ。(クリックで拡大)


次回は、私の高校時代仲良くしていた後輩を紹介したいと思います。卒業後関わりはなかったのですが、SNSのおかげで現在では建築、プロダクトの仕事で活躍していることを知り、関西の田舎育ちの私のとっては、地元の知人が活躍しているのが嬉しく、このリレーを回しました。


外林健太/Sotobayashi Kenta

株式会社LEAP所属。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。衣装デザイナー兼フォトグラファー。舞台衣装、音楽アーティストの衣装、オフィシャル写真、グラフィックデザインなど。



2019年7月8日更新。次回は酒井雄大さんの予定です。

※本コラムのバックナンバー
http://pdweb.jp/column/index.shtml#mailmag

 


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