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コラム

世界の中の日本デザイン 第21回

国旗のデザイン
このコラムではコンセプター坂井直樹さんに、日本のプロダクトデザインをグローバルな視点から眺めていただきます。ドメスティックな感性とグローバルな対応力が、デザイナーに求められているのかもしれません。

[プロフィール]
坂井直樹
コンセプター。1947年京都生まれ。京都市立芸術大学入学後、渡米。サンフランシスコでファッションビジネスを立ち上げる。帰国後はテキスタイルデザイナーとして活躍後、1987年に日産から販売された自動車「Be-1」のコンセプトで脚光を浴びる。その後au design projectで数々の先進的な携帯電話のデザインをプロデュースする。慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科教授。

 

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▲おなじみフランスのトリコロール

2014年は冬季オリンピックやサッカーのワールドカップなどの大規模なスポーツイベントが目白押しだ。こうした舞台で必ず目にするのが国旗。しかし、テレビに映る世界中の国旗を眺めていると、似たようなデザインのものが多いと感じる。

●トリコロールカラー、ラスタカラーの国々

国旗は単純化された色と形の組み合わせだから、バリエーションを作るのにも限界があるのだろう。たとえば青・白・赤で構成されるトリコロールカラーは、フランスだけではなくオランダなどの8カ国が採用している。

また、エチオピアなどのアフリカ諸国は赤・黄・緑で構成されるラスタカラーを使うことが多い。さらに、モナコとインドネシアの国旗に至っては、上半分が赤、下半分が白なので、縦横比は異なるものの、一見するとどちらの国の国旗なのか見分けがつかない。ただ、デザインは同じでも色に込められた意味は異なる。モナコでは赤と白は古くから王家の色であるのに対して、インドネシアでは赤が自由と勇気を、白が正義と純潔を示しているという。

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▲オランダの国旗もトリコロールカラーを用いている
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▲エチオピア国旗のラスタカラーはアフリカ回帰を唱えるラスタファリアニズムのシンボル
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▲モナコとインドネシアの人々にも見分けはつかないのではないか?

●ユニオンジャックの系譜

独立国家の象徴である国旗が、独自なのではなく類似であるのは、同じルーツを持つ近隣諸国との仲間意識や連帯意識を重要視しているという理由も考えられる。

たとえばオーストラリアをはじめとしたオセアニア諸国は、ユニオンジャックをデザインの一部に取り入れているが、これは独立してからも宗主国イギリスとの関係を切りたくないという意志の現れではないだろうか。あるいは、こうした国々のユニオンジャックには「いつかイギリスのような国家になりたい」という密かな憧れなども込められているのかも知れない。

そんなイギリスの国旗のデザインは個人的にも好みである。ユニオンジャックは、国を構成するイングランド、スコットランド、アイルランドの守護聖人の十字印を4つ組み合わせるというコンセプトが面白い。イギリス以外では、正方形の赤地に白の十字のスイスの国旗デザインはブランドマークとしても成立しているところに惹かれる。ここまでデザインが洗練されていれば、例えば自動車メーカーのロゴマークなど、旗以外の用途にも使えそうではないだろうか。

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▲ユニオンジャックを取り入れているオーストラリアの国旗
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▲イギリスのユニオンジャック
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▲赤十字のモデルとしてもおなじみのスイスの国旗

●オリジナリティーに優れる日の丸
ちなみに「日の丸」のデザインも好きだ。僕は別にナショナリストではないが、オリンピックなどを見てもオリジナリティーではピカイチだと思っている。もっとも世界中の人が、自国の国旗が一番だと思っているに違いないが。

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◀日の丸はシンプル且つオリジナリティのあるデザイン

 


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