pdweb
無題ドキュメント スペシャル
インタビュー
コラム
レビュー
事例
テクニック
ニュース

無題ドキュメント データ/リンク
編集後記
お問い合わせ

旧pdweb

ProCameraman.jp

ご利用について
広告掲載のご案内
プライバシーについて
会社概要
コラム

澄川伸一の「デザイン道場」

その66:数字を味方につけよう

澄川伸一さんの連載コラム「デザイン道場」では、
プロダクトデザイナー澄川さんが日々思うこと、感じたこと、見たことを語っていただきます。

イラスト
[プロフィール]
澄川伸一(SHINICHI SUMIKAWA):プロダクトデザイナー。大阪芸術大学教授。ソニーデザインセンター、ソニーアメリカデザインセンター勤務後に独立。1992年より澄川伸一デザイン事務所代表、現在に至る。3D CADと3Dプリンタをフル活用した有機的機能的曲面設計を得意とする。2016年はリオオリンピック公式卓球台をデザインし、世界中で話題となる。医療機器から子供の遊具、伝統工芸品まで幅広い経験値がある。グッドデザイン賞審査員を13年間歴任。2018年ドイツIF賞など受賞歴多数。現在のメインの趣味は長距離走(ハーフマラソン91分、フルマラソン3時間20分、富士登山競争4時間27分)。



皆それぞれ、いろいろな目標を持っていると思う。どんな小さな目標であっても、昨日までの自分よりも明らかにレベルアップできている今を確認できればそれが生きることのモチベーションとなって、充実した1日を感じることができる。それは、仕事であっても趣味であっても同じだ。今、目の前にあるタスクに関して目標がなければ、無気力に海中に漂うクラゲのようで生きている感じすらしないだろう。

ある目標に向かって自分自身では精一杯、頑張っているような気がしても、実際は効率が悪かったり予定ほど進んでいなかったりすることも多いのが現実だと思う。全力でボートを漕いでいるような気になっていても、客観的に見れば、座標的に目的地とは違う方向に移動していたり、実際にはカレントに流されていてまったく進んでいなかったりとか、あるあるだと思う。

自分の足元しかぼんやりと見ていなくてエスカレーターを逆走しているだけのような感覚。プールで水しぶきを上げて泳いでいても、まったく進んでいないとか。誰でも経験あるのではないだろうか。限られた時間とエネルギーは無駄なく効率よく使いたいものである。要は、ただ頑張るのではなく、正しい方向で頑張ること。

●ダイエットは2週間後を目標に

そこで効率的な手段としてもっともお勧めな方法は、数字を有効活用するということだ。まずは自分自身の現時点の座標を見極めて、そこからどっちに座標を移動したいのか? それを数値管理していくのである。

例えば、共通意識として多い目標の1つにダイエットがある。この時期は、年末年始の怠惰な生活の結果としての正月太り解消とかやたらとダイエットの関連商品を売ろうとした広告が目立つ季節でもあるが、これがまた暖かくなって夏になれば、さらにダイエット関連の商売も増えていくのである。

大事なのは、何かの商品を買うことが解決策なのではない。お金を使うことではない。こういうカラクリには、そろそろ気が付いていいはずだろう。答えは、自分自身の足し算引き算でしかないはずなのである。さらにいえば肝心なのは、引き算である。引き算が大事というのは、すべてに共通して言える。デザインだって引き算の結果なのである。余計なものを削除していくのである。

皆が困難に感じるダイエットも数字を使えば、実に簡単なのである。昨年はふと思い立って数値管理に徹底したらその結果としてたったの3ヶ月で、体脂肪率が13%から8%まで落とすことができた。

方法は、とにかく厳密な数値管理である。食べるものに関しては、基本的にアプリで合計カロリーを集計する。当たり前のことだが、数値管理し始めると水とかお茶のありがたさが倍増する。いくら飲んでもゼロである。特に、常温や冷却された水は、取り込むことで体温を温める消費カロリーが発生するのでお得感がある。お湯を沸かすときに、かなりのカロリーを使うのを想像してほしい。

水分代謝量が多いのはとても良いことだ。問題は、お腹が空きすぎて、街中のカツカレーとか豚骨背油ラーメンが視界に入り、制御不能に陥って、ハイカロリーを食べてしまうこともあるだろう。食べ終わって、ネガティブに気分になってしまう。ここで、明日から頑張ろうとか言っているようではダメ人間になってしまう。

少しでも罪悪感を感じたのであれば、その瞬間から、早歩きでまずは1駅歩くのである。ガーミンとか、アップルウォッチでとりあえず、スタートボタンを押す。そして早歩きを開始する。その行動で、少なくともメンタルのストレス要因はリカバリーできるし、カロリー計算の感覚もつかめてくる。ラーメン1杯分のカロリーを消費するには、おそらく10キロ以上歩くことになるはずだが、それはそれでいいと思う。食べるものとその活動量を把握できると不思議と痩せてくるものだ。無意識にそのあたりの脳への刷り込みができればいい。これが習慣づいてくると、人間の食の効率というのが、生物学的にとてつもなく良いのが実感できるはず。

昨年、BMWからプリウスに乗り換えてそのガソリン代のあまりの違いに歴然とした。人間もおにぎり半分で、7キロくらいは余裕で移動できるから、効率的にはすぐれている設計なのである。そういうことを意識しながら毎日の収支をマイナスで維持しておけば、2週間後には想像以上の減量結果が数値として現れる。

今の一口の食事を消費するには、非常にたくさんの運動量と活動量が必要なことが分かってくるはず。ここでは、基礎代謝というものは計算に入れない。だから、たくさん動く1日であれば、そのあとなんでもたくさん食べてもいいし、デスクワークだったならサラダとヨーグルトくらいで済ませておけばいい。行動量に応じて食事が決まるという順番にすればいい。ダイエットに関しては、結果として現れるのは、明日ではなく2週間後の未来であるということ。ここは焦らずに自分の行動を信じることだ。

●3と4と7と12

体重が軽くなることでフットワークも軽くなり、運動も楽しくなったこの半年間、毎日10キロ走ると決めてから、またレースのタイムがどんどん速くなってきた。

これはとても嬉しい。心臓含めて、筋力は鍛えれば鍛えただけの効果が出るものだ。これは鍛えないと損だろう。でも、毎日10キロ走るというのは実際はかなり面倒である。走っている時間は実質1時間程度なのだが、やっぱり長く感じるし、走り出すのが面倒なのが正直な話。そこで有効な方法が「3と4を使う」という方法。とにかく、まずは何も考えず走り始めて、ひとまずは1/4を目指すのである。今日は1/4で止めていいよと自分に嘘をついてスタートすればいいのである。これはたかだか15分程度ですぐに完了する。1/4という単位は欧米ではかなり普及していて、クオーターという単位があるほど。25セント硬貨などかなり使用率が高い硬貨でもある。

ピザの1/4を視覚的にイメージすればいい。1/4だったらハードルは低い。そして、そこを超えたら、次に1/3を目指すのである。1/4から1/3までは実はあっという間に到達できる。この1/3地点まで来たら、もう自分自身に勝ったようなものである。あとは半分まですぐに到達する。そこから先は、折り返しになる、山は越えたことになる。そうして、次に2/3を目指せばいい。ここをクリアできれば、もう終わったようなものだ。あっという間に終了する。頭の中で、でかいピザを1枚食べ終わったような映像ができ上がる。

とにかく、なにも考えずに食べ始めて、最初の1/4と1/3を意識することで、長い道のりは楽に完了できる。ぜひ、思い立ったら今、実行してほしい。もちろん実際にはピザは食べないが(笑)。つらい1時間を乗り越えるための1つのアイデアである。これを応用すれば、ハーフマラソンは1/3が7キロになるし、フルマラソンなら14キロになる。仕事の時間管理でもこれを使えば乗り切れるものだ。面倒な確定申告でも、科目別計算のまずは1/4を目指せばいい。学生のバイトの時間だってこれで乗り切れる。

数字における3と4の関係って実に不思議である。単純に3と4を足せば7となる。7って世界共通の1週間の単位である。なんとこれは古代バビロニアから現在まで継承されている1週間の単位なのである。なんと長い年月をこの単位が使われているかと考えると不思議でもある。この7日で1週間が終わるというのは生活リズムとしては極めて快適だと思う。
z
これが、分かりやすいという理由だけで1週間が10進法で10日間だとしたらなんか疲れがたまりそうで嫌な感じがする。やはり7日がちょうどいい。そして、何故日曜が太陽で月曜が月なのだろうか? 曜日と惑星の名前の割り当ては非常に興味深いが、これまた長くなるお話なので、興味ある人は各自調べてみてほしい。簡単に見つかるはず。惑星の話もいつかまたしたいと思う。初めて土星の輪を望遠鏡で見たときは、本当に驚いたものだ。個人的にも土曜日は大好きな曜日だ。

3と4の話はまだまだ続く。3と4を乗算すれば、12という単位になる。これは、1年が12か月であり、時間が12進法で進んでいくこともあり、時計の文字盤含めてとても馴染の深い単位でもある。12時という時間が世界的にお昼ご飯というのもなんだか不思議なことでもある。そして12という数字は月と関係が深いのでもある。1年に、月が満ち欠けを12回繰り返すという事実がまず根本にある。星座や干支も12種類である。
z
不思議なのは、音階も12平均律という、鍵盤の数があり、サックスの練習とかでも、2-5-1の12音階のスケール練習とかやった記憶がある。音楽まで12進法なのは非常に不思議なことでもある。人類は、身の回りを数字で囲まれて何世紀も生活をしてきたのである。逆に言えば、数字を有効的に活用することで、より理想に近い場所に到達できるのだと感じる。

数字はとても不思議な存在である。

そして、現在の自分は何点なのか? 数値化して意識することがまずは大事だと思う。自身の健康管理でも、定期的に献血含めた血液の成分検査は必須だろう。手遅れにならないうちに現状を把握しておいたほうがいい。こんな世の中でも、数字は絶対的なもので信用できるのである。数字と上手に付き合っていこう



2024年2月1日更新




▲早くも梅が咲き始めている。今年は寒さも厳しく、いろいろと大変な年明けとなりました。いつもと変わらず、季節を感じられる草花にはほっとさせられます。(クリックで拡大)


▲昨年デザインさせていただいた珈琲カップとソーサーです。冴えたブルーが珈琲の色を際出せてくれます。武雄焼/康雲窯/青藍シリーズより。(クリックで拡大)






Copyright (c)2007 colors ltd. All rights reserved