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女子デザイナーの歩き方 第99回
イタリア血中濃度
moviti/片山典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


オリンピック終わってパラリンピックですね。閉会式の日本プレゼンは日本人のモチベーションが上がる出来でよかった。さすが椎名林檎(と彼女を連れてきたのはやっぱ電通ですかね)。
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バブル期が青春な時代だったからか、イタリア的なものが身体から抜けない。イタリアに定期的に行かないと気持ちが塞いでくる。かと言ってサローネには1回しか行ってないし、留学経験もない。これまで結構な回数行って割と満遍なく訪れているが、どれも10日程度の自腹観光だ。最近はトレッキングや岩登りをしにベネチア経由ドロミテ方面へ、今年の夏休みも3年ぶりに行った。

今時の若者は観光ではなくオランダとかに留学して滞在するんでしょうけど、ユーロ圏の旅行も楽しんでくださいね。
佐貫亦男「道具の再発見—姿・かたち・機能との対話」
妹尾河童「河童が覗いたヨーロッパ」

大学時代にこれ読んで彼の地の窓の鍵やヒンジ、洗面台やドアノブの形状とかチェックしたり、わざわざ寝台車の個室に乗ったりしたもんだ。機能に対する答えの出し方が日本と違うのがとても面白かった。

日本でクライミングギアといえばBlackDiamondやPetzlが多い。イタリアブランドのシューズのla sportivaは日本でも大手だが、イタリアではCAMPやKONGが独特の形状のプロダクトを展開している。愛らしいもっさり感。
http://www.lasportiva.com/it/val-di-fiemme-italy/
http://www.kong.it/
http://www.camp.it/

今回の旅行で見かけたんだが、楕円の軸がずれているコーヒースプーン。カプチーノの泡をカップの内側に沿わせて綺麗に掬える、という意図か、単なる造形的な遊び心か。そういう"こういうのもありでしょ"な機能に関わるフォルムを作っちゃう。かといって新し物好きということもなく、コンサバな国民性だと思う、多様性に寛容なのかしら。手に取った方がビミョーな気分になるプロダクツもちらほら。

だいたいイタリアがデザインの国なんてことはなくて、たまたま1960年代に偉大なプロダクトデザイナーが沢山いたり、名車が続々とリリースとか、1980年代にイタリアンファッションブランドのブームがあった名残ではないかと思う。

やっぱデザインのこなれ方、時代に合わせたリニューアルが上手なのはイギリスでしょ。根っからのおしゃれ番長はフランスでしょ。

イタリアって分厚い金属とか工業、濃厚で明るいグラフィック好き、お洒落でスマートとはちょっと違うイメージ。薄く軽やかなデザイン全盛の現代まで続く、肉厚曲面のグラマラスな魅力というか。それにしても今改めて以下のサイトを見ると萌えますね。古いレトロだから良いというよりもう圧倒的魅力。
http://fondazioneachillecastiglioni.it/
http://www.gioponti.org/it/
http://www.antoniocitterioandpartners.it/EN/Home.aspx
http://www.bellini.it/design/
http://www.brionvega.jp/index.html

他 マルコ・ザヌーソ:Marco Zanuso、リチャード・サパー:Richard Sapper、ジョー・コロンボ:joe colombo、更にポストモダン時期も合わせると、あらやっぱり多いわね。

今回VeneziaのMuraano島に行ってガラス博物館でCarlo ScarpaのVeniniの本に出会って、久しぶりのスカルパ先生との出会い、おおらかでプリミティブでやっぱいいなあ。
http://venini.com/it/art-glass/murrine-romane/

この人の建築は空間構成とプロダクトなディテールの融合というか、見応えがあって昔建築巡りしました。ベネチアのFondazione Querini Stampalia、Olivetti Showroom、ヴェローナのMuseo di Castelvecchio、トレビーゾのBrion Vega Cemetary。ミラノでもフィレンツェでもない北東部に集中しております。

タイル使い、建具などの繊細なメタル使い、部屋の角を使った見せ場や窓形状、壁の色、美しさの追求だけでここまで複雑なディテールになるのか。古くなっている感じも本当にいいです、ガツンときます。pintarestなどWebや本でも見れるけど、やっぱ本物を観ることをお勧めします。
http://www.archdaily.com/638534/spotlight-carlo-scarpa

シンプルではないな、肉厚でデコラティブでバナキュラー。そろそろ北欧ブームの次にこちらに来そうな気もするのだ。

 


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