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女子デザイナーの歩き方 第96回
デザインぽい
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


夏のようですね、セミはまだ鳴いてないようです。

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5月はデザイン系の呑む機会、いろんなデザイナーと話をしたような気がする。

今年8回目、2年ぶりの旭川木工コミュニティキャンプ、ちょうど北海道が日本一暑い週末でした。
https://www.facebook.com/AMCC10/
http://www.mokkocamp.org/

今回は打ち合わせを入れてしまったので、森で間伐体験も工場見学も行けなかったのですが。

相変わらず100~150名の大ジンギスカン交流会。地元ブランド高砂牛のバーベキュー、時鮭のチャンチャン焼き、夢民村の風のささやき(日本酒)、旬のアスパラガスなど堪能しました。学生さんや若いデザイナーは名刺交換も気合が入ってる。

セミナーとして5年前にこのキャンプの縁でデザインから商品化になったハイクソファーの話をデザイン、設計、生産の3名で20分ばかり発表。マンションのドアから搬入できるサイズとか、当時私がいかにフィンガージョイントにメロメロだったか、ソファーに座ってかしこまっていても、いつの間にかソファーの前の床に座ってる日本人あるあるネタとか、時間をおいて思い出すと、意外と冷静に面白いエピソードを紹介できて評判良かった。

その次の週はデザイナーが集まる清澄白河のたにたやで、友達の友達つながりで初対面も意外と多い10人飲み会。
http://lightanddishes.com/

そこで”昔クラフト作家とデザイナーの複数ペアで商品提案のプロジェクト”の時に「デザインぽいよね」って言われた、という話が出てきた。この場合良い意味で使われてない、と受け取っていたようで。

【デザインぽい】という語はgoogle検索しても出てこない。非デザイナーが言うと賞賛になるが、デザイナーが言うとネガティブに使われるか茶化されてることの多そうな言葉だ。

なんでしょうかね、私の勝手なイメージでは、個人のクリエイティビティが前面に出てる、周囲との調和というより目立つ新規感、癖がある、実用機能より造形美。

いやこの頃はむやみに整ってるとか。緻密に考えたりロジカルな造形、手間をかけていてもデザインぽいって言うかな。精度が高そう、繊細で神経質そうとか。折り紙やポリゴンの三角形の面の連なり、薄肉で白くてつるっとしてるという、見た目の印象もあるかな。装飾的というよりは虚飾を排したそぎ落としモダン?たくさん模様のついた鋳物の重そうなのでも該当するかな? 格好良さ基準で外観をコントロールしてる無茶な感じ? アイデア大喜利の悪ノリ感?

反対語はナチュラル、素材感がある、オーセンティックあたりか。いかにもデザインしてるわーって感じ。キレッキレにかっこいいか、やりすぎてもっさりするギリ手前か。

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新美術館の MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事
http://www.nact.jp/exhibition_special/2016/MIYAKE_ISSEY/

これは堂々と【デザインぽい】

私小学生の頃にたまたまテレビで三宅一生の丸い布に穴開けて被るコートを見て「ああ今の時点でこの人以上のことは思いつきそうにない」とひっそり挫折を味わった経験があります。

21_21でも過去に数回展示を見ていたのだが、今回のが評判良いのを聞いて行ってきた。相変わらずかっこいい、40年前のコートの素材もカッティングも、タトゥーなジャンプスーツ、プラスチックボディ、オリンピックユニフォームも、刺し子のベースボールシャツ、張りを生かしたプリーツの縫製。

今回は丸いフェルトのバッグやとんでもない形のサングラスがたくさん出ていて、今でも売れると思うし、他で見たことない。

実はプリーツプリーズ発売の頃に頑張ってちょくちょく買って、まだ数枚持っている。ご本人は「Tシャツやジーンズのように自由な服を作りたい」と言っているが、そうそう似合わない。頭の小さい8頭身和風顔のモデル、体操部のようなアスリートはバッチリかっこいいのに。

見た目より暑いし、袖捲りしてもすぐ戻るし、発色良すぎるし。マネキンのようにハイヒールを履かずに爪先立ちでバランスが良いのだが、特にスカートは靴を選ぶのが難しい。メンズは妙に肩幅が広くてボクシー(今はそうでもないのかな?)。自由というよりは、着る人を選ぶ厳格な服だと思う。(コムデギャルソンの方がはるかに実生活に則して着易いし、似合う幅がある)

でも金箔が押された折り紙畳みの服や肩からストンと落ちた背中の美しいコートがもう欲しくなって非常に困るほどの【デザインぽい】の極みだなあ。


 


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