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女子デザイナーの歩き方 第94回
雑貨の雑感
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


21_21で【雑貨展】というなかなか真正面なタイトルの展示会がされているので、雑貨についてつらつら書きます。
http://2121designsight.jp/program/index.html

雑貨という言葉がなんかひっかかる。ザッカ、ZAKKA…日用品だと遊びがない。

雑の意味:
・いろいろなものが入りまじっている。まじりけがある。まじる。
・多くのものが統一なく集まっている。
・やりかたが念入りでなく、大ざっぱなこと。

ポジティブに多様性な感じのある言葉で”雑”以外に置き換えたい、と思うんだが。commodityと言うのもちょっと違う。

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おしゃれ雑貨は80年代から始まった、気がする。

それまでもあったのかなあ、自分が子供過ぎて気がついてなかっただけで。うちには銀行でもらったとか近所で買ったテキトー昭和なプラスチックの台所用品ばかりだったからか、雑貨店は異文化だったなあ。神戸独特の洋風な陶器の置物、造花や神戸土産を売ってるような店はあったか。

海外の日用品やかっこいい古道具を集めた小さなこだわり雑貨店がどっとできた。神戸ならソニープラザ、ONE WAY、シュビドゥビ、クロワッサンの店、丸善、大中に文化屋雑貨店。わざわざ東京に遊びに行ってLIVING MOTIF、F.O.B.COOP、アメリカンファーマシー、温故知新など。個人的に多感な年齢だったし、流行ってたので、ありがちな「一人暮らししたらこんな食器を使うんだ」な志を胸に、雑貨屋巡りが好きだったなあ当時。

店ごとの目利きが選んだ鉄製のステープラー、手帳、クリップ、黒ページのアルバム、ファイル、現代美術の絵葉書、スタビロのペン、デュラレックスのコップ、パリのカフェのステンレストレイ、箒など。お菓子や薬、消耗品でもパッケージがハイカラというか。日本の古い日用品も少しあったけど、メインは輸入物。
https://shop.tokyu-dept.co.jp/ec/cmShopTopPage2.html
http://www.tomods.jp/company/ap.php
http://skipskipskip.co.jp/
http://www.feel-kobe.jp/shopping/spot/?sid=419

海外旅行先でスーパーに入った時のワクワクする感じ。へえ日本にも似たものあるけどこんな色・形なのか。こんなものの売り場がこんなにでかいのか。平凡な日用品と似てるようで一味違う、最初に触れた”普通なのにこだわってる”感覚。今もそのムードがあるのはD&DEPARTMENT、ちょっと俗っぽいのはヴィレッジバンガードか。

日本の地方あるいは作家が伝統工芸の技術で作ったものを集めたショップが多くなったね。
http://www.d-department.com/
http://www.village-v.co.jp/

一方マンモス雑貨店も80年代から。ハンズが1976年、無印良品が1980年、ロフトが1987年。物が溢れる風景が始まった。目が泳ぐ、迷うー。

気が利いてて心の隙を突いてくるモノ、可愛いだけで飽きそうだな、とか。買う人の目利き力を要求されてるような。手帳とか種類があると選ぶための基準とかこだわりも刺激されて、もっといいのがあるんじゃないか欲が出て落ち着かない。

ありそうでなかった系アクセサリーをつい試したくなり時々買ってしまう。”壁の隅にコードを這わせるためのシリコンフック””バッグに脱いだジャケットをかけて持ち歩けるストラップ””本を開いたまま留めるクリップ”とか試したくて買って使いこなせなくて捨てられずに放置しているものもあったりする。

ああ、画材屋さんもそういうとこあるわね、専門店か。電化製品屋とかカー用品屋とか、DIYショップとか。雑貨屋は浅く広く生活全般のやる気を上げる専門店。

100均ってダイソーの一号店が1991年だそうで。あらーこんなものが100円で売られてるの、感心しているうちに、多すぎる、もう無闇にものが増えない方がいいんでないのか、息苦しくなって呑まれるので、必要なモノを買うときにしか行かない。おそらく中国製が多いのだろうが、中国ならではの民族性、味わいがない。統一のない色、アピールするパッケージすらコストダウンで省かれる。ある意味機能に特化した品揃え。封筒、納品書、筆ペン、化粧品の小分け瓶、ちょっと立ち寄って買える。紙風船のようにどこで売ってるのか分からないものはとりあえず探しに行く。

最近はDIYな毛糸や刺繍キットなど売っているし、赤い麻ヒモでバッグを編む人とか木のキューブを使って小物や便利グッズを作ったり、材料屋として工夫の頭を使って店内を回る人も多いのね。
http://www.donki.com/
http://www.daiso-sangyo.co.jp/
http://www.seria-group.com/

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で、「雑貨展」。参加者ごとに棚1つほどのスペース、群によって浮かび上がる棚ごとの世界観。古くて懐かしいフォークロアな感じのするものが多い。ああ今の東京ではこういうスタイルのものがオシャレ最先端なのか。個々の物品の説明はない、触れない、価格表示もないことが、雑貨屋巡りでなく、”現代東京民俗学博物館のような”印象。

いつもは熱いデザイナー/作り手の思いがみなぎる21_21だが、今回はクールな俯瞰の目線で流行の雑貨を編集している。でも一見低体温そうで自慢したくなる欲がじんわり見えてくるモノがたくさんというのも今風。


 


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