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女子デザイナーの歩き方 第74回
未来の電機リテラシー
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。



●電気と暮らし

今年1月にリニューアルされた東芝未来科学館に行ってみました。
http://toshiba-mirai-kagakukan.jp/index_j.htm

科学館の頃から気になりつつ行ってなかった。夏休みスタートで子供のワークショップで盛況。暮らしの仕組みを支えるための電気、というストーリーのようだ。

発電:火力(ガス、石炭、Co2除去)水力、小水力、地熱、バイオマス、風力、原子力、波力、太陽光ビル:省エネ(太陽光発電、照明、空調)セキュリティ、エレベータービルとビルをつなぐ、ビルとまちをつなぐREMS BEMS CEMS。

家の中:HEMS 遠隔操作でエアコン、お風呂、テレビ電話、ヘルスケア、天気予報、空港の管制塔、鉄道、道路、ダム、郵便や銀行での仕分けなど紙情報処理。交通:モビリティの回生エネルギー。

将来の課題:人口増加高齢化/がん撲滅、情報社会化/情報がどこまで増えていく/パスワード、セキュリティ、資源エネルギー問題/未来のエネルギー、エネルギーは自分で作れるの、地球環境への配慮/温暖化防止、水の浄化…などなど。

ざっくりキーワードを書き出しただけ、快適に暮らすにはもっとたくさんの「縁の下の技術」がある。

センサーや半導体を駆使した大きく繊細で目に触れない技術。インテリジェント化、スマート化が語りたいメインテーマ。

現在実用化されつつある未来の技術とでも言おうか。小学生対象らしいグラフィカルなパネルでの簡潔な説明だが、読解するには集中力がいる。その割に展示内容の解説パンフはないんでパネルを撮影するしかないんですが。まめに更新するつもりなのかな。

実はゲームには顔やジェスチャー認識、ARや巨大タッチパネル、センサーなど使われているのだけれど、これ気がつかないよねえ、ちょっともったいない。快適はさりげない、見えにくい。

ビル省エネ(エレベータ、照明)ゲームはなんだか面白かった。超伝導(未だに冷え冷えなのね)、静電気(ベタに髪の毛が逆立つ)のデモが人気。

技術の棚卸し、どこを切り出して伝えるか、未来につながる今の技術、オリジナル技術をどこまでアピールするか。過去ばかり振り返らずに”未来”館だし。

昔あったそうな産業用ロボットがコマ回ししたり、光速エスパーもサザエさんもロボットの展示はなかった。そうかロボットって大阪万博&昭和の頃は夢の存在だけど今は実際の事業ドメインを整理した後か。

んーなんかちょっと寂しいな。電機ってこんなだっけ。

歴史のコーナーに創業者のからくり細工や日本初の炊飯器、洗濯機、冷蔵庫などある。1960年頃から箪笥サイズの計算機やテレビ、電子レンジ、D-RAMやワープロの文字変換、ファクス、パソコンを経て、液晶テレビ。 あれ?

家電の説明展示が随分省略されている。そのせいか歴史と未来のつながりが弱い気がする。

一世を風靡したオーディオ、フォーマットの勢力争いが激しかった磁気記録メディア、ブラウン管と液晶、CCDの原理の展示はなし。ビデオデッキ、かろうじてHDDの説明あり。未来へつながる技術としての掃除機ロボのセンシング技術とか、電子レンジと電話ぐらい説明して欲しかった。

磁気テープも今の子供はむしろ新鮮なんじゃないか(カセットテープ、ビデオテープとも、シニア向けに今も販売中)。

私が職業選択をした頃の家電というのは小型テレビ、カセットデッキ、VHSデッキ、ウォークマン、ドライヤー、ワープロの頃。ライフスタイル提案、個電、デジタル家電の始まりの時代。生活の中の”電気”との接点が家電。

まだ液晶モニターもビデオデッキもかっこよくするには分厚くて、競合他社を横にらみながら設計者とやりあったり「デザインで薄く見せる」面取りや段々でなんとか格好にしていた。まあそれすべてがデザインワークとは言いませんし、あの頃にすっかり戻らなくていいと思う。

当時は翻弄されたもんだ、時代のあだ花、強者どもが夢の跡。その頃にいろんなところでデザイナーが作ったプロトタイプがみんなの潜在意識に染み込んで、今のスリムでコンパクトな家電の実現にこじつけた、と思いたい(それどころか結構なプロダクツがPCやスマホのアプリになったのか)。

**

以下、先日夜間の専門学校の講評に1日参加して、別件でオットは大学デザイン科の講評に参加して、それぞれ感じていたこと。

今の若い人ってインターネットでものすごい量の情報に触れることはできるけれど、アイデアの幅が凄く狭かったり、一方通行で考えを煮詰めていたり。

当然若いからなんだけど、変なもの(狙って作ったジョークグッズでなく)、素朴とか無骨とか突飛とか涙ぐましいとか、そういうモノに触れる機会が減ってるんじゃないのか。

かといって意図的にそんなものばかり探索してたら懐古趣味な古道具屋マニアになっちゃうと、それはそれで始末に負えないんだけど。

かっこいいものしか見てないと、かっこいいの幅は意外と狭いから驚きが作りにくいし、驚きを作ろうとはしてないね。要はボキャブラリーを増やした上で美しい惹かれるデザインをチョイスして欲しいね、ということです。

結構名作もあったと思う1980~2000年あたりの「家電デザイン」。特にオーディオ、デジタル系は歴史からひっそり”なかったこと”になりそう。まあね。



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