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女子デザイナーの歩き方 第126回(最終回)(2018年12月4日掲載)
あなたの街のみんなのデザイン
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。2010年独立、3D CADでプラスチック製品から布製品、ソファやモダン仏壇の木製品、クラフト系などネーミングやロゴ込みでいろいろ手がけている。趣味はフリークライミングとバスケットボール、旅行。
http://moviti.com/moviti_nori


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


寒くなりました、街でクリスマスソングを聴く季節ですね。

縁あって4月から東京都中小企業振興公社のワンストップデザイン相談の相談員を月1回やっております。
http://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/soudan/design.html
http://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/design/index.html
http://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/design/guide.html

それにしても全然接点のなかったデザインについて1歩踏み出して相談に来るだけでも勇敢だ。

自分のビジネスをデザインの観点からコメントして欲しい、デザイナーを探すにはどうしたらいいか、金額どれぐらい準備しとけばいいのか、問題点や依頼したい内容、アウトプットイメージがはっきりしている人もいるし、相談内容すら漠然とした状態で来る人もいる。

まあ無料なんだから今までデザイナーと喋ったことないし、デザイナーとの打ち合わせの予行演習になればいいな。依頼者がデザイナーに仕事の説明するのを聞いてほぐすだけでも考えが整頓されるだろうし。なんか1ミリでも”得るものがあった”と感じて帰って欲しい。

デザイン相談は意匠的な話をする、だけでは好き嫌いコメントになってお互い納得できないだろう。そもそもデザインは共同作業、作る周辺やユーザーのこと、これまでの事業内容、業界内の常識も知りたい。まずデザイナーの知識を依頼者のレベルに合わせないと話にならない。

事前に依頼者のサイトは見てるが、1時間で依頼者から諸々聞き出して、相談内容を理解して回答する、一期一会ほぼ予測不可能の全力一本勝負。

きっかけにするのに普段の生活やSNS、テレビ、友人との会話で見知った豆知識聞きかじりも総動員、頭を柔らかく心がけてズケズケ訊いちゃう言っちゃう。

その場でブラウザでキーワードを思いついて検索してヒントになりそうなサイトを探して提示することもある。その検索ワードが意外だったりするようで、そこから導かれるイメージや自分の専門世界の見方が変わったと感じてくれる依頼者もいる。デザイナーとの接点を作る方法や知人のサイトを紹介することもある。
http://designhub.jp/
http://www.designer-db.tokyo.jp/
https://www.axismag.jp/

従業員数が数十人の企業の企画担当者が来ることもあれば、とても専門性の高そうな業界の一匹狼な商品企画さんがデザイナーを探していることもある。会社という一般的なフォーマットというより、もっとプリミティブな”生きる糧”として自分の仕事を捉えてるのかなという人も来る。リタイアしたメカ設計者や看護の現場で手作りの商品開発した人(地方自治体のアイデアコンテストで入賞した)アイデアも持ってくるお一人様起業家とか。

初めは何言ってるのか分からないのを整頓してだんだん見えてくる。いやあオリジナリティあるアイデア、モノづくり欲っていろいろあるもんなんですね。そこにデザインがどう役立つか、いわゆるデザインアプリでデータが作れれば(.ai/.dxf/.stpなど)メーカームーブメントなモノ作りの可能性ができるし、デザインからの視点ですっきり整理させたりして会社や仕事の輪郭が見やすくなり、やるべきことが見えてくることもある。

名刺変えるだけで自信がついて結果的にカスタマーが増えることもある。70歳過ぎて数回の相談で自分で課題をブレークスルーするのに立ち会えたり。こちらはヒントを与えるだけ、決断は自身でやらないとね。

先月IFFTと会期同じく東京ビッグサイト東館で開催の産業交流展2018で出張デザイン相談もやった。会場内は息詰まるデザインアウェイ感。
https://www.sangyo-koryuten.tokyo/

デザインの良し悪し分からないし、適正価格か分からないし。小さいことに拘られたり、うっかり失礼なこと言って怒らせたらいやだな。とか思われてるのか。この機会に話しかけてくれていいんですけど。変だけどフツーだし優しい人多いし、価格の相談にも乗るよ。

デザイナーは”美しい”基準で世間を見てしまうビョーキみたいなもんだ。

いろんな美しい!と出会うと幸せになる、栄養になる。逆に日々生活しているといろんな”残念"が目に飛び込んで、一人密かにストレスを感じる。

やかん一つ買いに行っても、旅先で見かけた貼り紙のレイアウト見ても、なんでこんな細かいことが気になるのか自分で困惑して笑っちゃうこともある。それなんとかしたいと思う。なんとかするのに手を貸したいと思うのです。

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今号で「女子デザイナーの歩き方」終了です。その時々の自由なテーマ、文字数、イラストで126回10年と7ヶ月、続けさせていただくなんて、なかなか貴重な機会でした。ネタになりそうとチャレンジしたこともあったし、広がって体験できたこともありました。

デザインは日常の延長、デザイナーじゃない人にも面白いと感じてくれるといいなあと書いておりました。実際のところはどうだったのかなあ。

先のことは分かりませんが、デザインでぽこぽこ歩いていくつもりです、ご一緒できることがあれば幸甚です。ありがとうございました。


 


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