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女子デザイナーの歩き方 第100回
今のデザインいい感じだと思うよ
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


無事100回です、ありがとうございます。個人的にはびっくりですが、今後もマイペースでその時の興味のまま続けていこうと思います。よろしくお願いいたします。

Kindleで60号まで読めますんでリンクしておきますね。
女子デザイナーの歩き方(上)
女子デザイナーの歩き方(下)

1回目が9年前、2007年だったんですね。今の大学生が9年前は小学4年生。当時を振り返りながら今と比較してみましょう。
http://nendai-ryuukou.com/2000/song/2007.html
なんと! AKBがいない! 東京マラソン第一回。東京ガールズコレクションはアネキャン路線。

http://allabout.co.jp/gm/gc/56292/
ヘルシー調理レンジを各社リリース。ルンバがおっかなびっくり。ダイソンは風変わりな舶来品。

http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0804/30/news053.html
ガラケーがモデルチェンジ合戦、au design project、infobar2。iPhone前年でiPhoneのようなiPodが売れた。

http://dc.watch.impress.co.jp/cda/special2/2007/11/22/7463.html
え、コンデジは1,000万画素前後なのかあ。少しでも薄く小さく高倍ズームを各社追求デッドヒートしてたな。

2006年にはコニカミノルタは撤退していたのか。一方ロモはDIANA F+でトイカメラ全開。あら今でも可愛い。
https://shop.lomography.com/jp/cameras/diana-f-family

まだロボットもプロトタイプ、IoTもAIも自動運転も未来提案。SNSもmixiぐらいか。

個人の感想ですが、次世代の高付加価値を試行錯誤してるけど突き抜けて結果が出てない悶々とした時期だった気がするわね。
こうしてみると現在につながってる1レイヤー手前の過去の割に、ノスタルジーにはまだ熟してなくて、むしろ忘れてたなーと思う。

**

で、この頃家電屋さんを見て回るのがまた面白くなってきた。

GoProとか完全に耳にいれるイヤフォンとか、タブレットPCとか、割と「30年来プロダクトデザイナー悲願の技術」が実現してるのよね。ウエアラブル、ユビキタスという言葉(懐かしい)が流行る一方、もう一息小さくなったら理想のサイズなのに、そこがなかなかと思っているうちに。ブロードバンド、タッチパネルの精度、充電効率アップ、無線通信の省電力化、センサーや電気部品のチップが高密度になって、薄型筐体のノウハウ蓄積、全体に高精細に技術がレベルアップしたんかね。本当このあたりは”デザイナー定番の夢の提案もの”のまま古くなっていくのかと思ったら、ちゃんと実現して想いが成仏したというか、嬉しい。実用レベルで小型化と低価格、あれもこれも欲張りで実現。全世界の技術屋の皆様のおかげです、ありがとうございます。

昔は分厚くて重いのを「デザインと広告のチカラで薄く軽く見せる」のが大きなテーマで、「スタイリングの工夫のメインテーマが大きく、とは言えこうなってしまいます」がはっきりしていた。ある意味面白かったよ、設計レイアウトや工夫が生々しくて。ベータとVHS、カムコーダー、液晶ビューカム、パスポートサイズ、って辞書並みに厚かった。

今や大きなメーカーでなくてもキックスターターで作っちゃえ、な仕組みもできたし、Made in Chinaは耐久性とか安全性はちょっと不安が残るけどスリムでコンパクトも実現しちゃうし。

今は思い通り薄く小さく自由になって、さてどこからどんなデザインをしようか、と見渡すみたいなことになってるのかしら。

うちのダンナさまも耳栓みたいなEARINを買いましたよ、充電の仕組みや動作時間もなかなかこなれています。どうなんでしょうね、イヤフォンのバリエーションとして定着するんですかね。私はイヤフォンで音楽聴かなくなったのと、耳の形を自分で把握してなくてすぐ外れるので、2日で失くしそうです。全然違う方向でParrotのタッチ操作のヘッドフォン、でっかいウェアラブル高級ソファみたいで素敵です。今やイヤフォンヘッドフォン売り場はすごい種類と色、メーカー、価格のバリエーション。
http://www.modernity.jp/brand/earin/earin/
http://global.parrot.com/jp/products/zik3/

デジカメがオーセンティック路線&動画360°に収束していったけど、オルタナティブ系もちゃんと残ってるね、以前撮った静止画が観れるって大事。プリントしない高画質で遊ぶってイマドキだね。
http://gigapan.com/
https://www.lytro.jp/

チェキも基本技術はそのままで、ライカVer.発売で独特のレトロアナログと写真本来の楽しさにお墨付きをいただいたようで、よかったです。
さらにinstagramなスクエアフォーマットがすぐプリントできるようになるの、懐かしいポラロイドスタイル、レコジャケとか音楽の香りがするとワシは思っていた、音楽とプリントがデジタルな画面を経由しないでもう一度つながりそうで、古いようで新しい展開を期待しちゃう。
http://news.mynavi.jp/news/2016/09/15/532/
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1109.html
http://polaroidjapan.com/index.html

多様性がワンランクアップした気がする分、デバイスや興味が拡散して、みんなが共通の「時代ごとの思い出」がぼんやりしていくんかもね。コミュニティが広い世間から小さい単位になってるからオタクが目立たなくなっているのか。デジタルのお陰でたくさん残せて見返しやすくなって、ものすごい量のデータが溜まってる、時間が経つにつれて観ないものは自然に忘れて跡形なく消えてなくなるデータがあってもいいなあと思う一方、たまーに見返すとジンとくるのが悩ましい。贅沢な悩みやね。

プロダクツを振り返っていたら社会の有り様の変化まで実感してしまいましたよ。懐古も面白いので、またやってみよう。


 


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