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コラム

モバイルデザイン考 第99回
手軽に持ち歩けるモバイルシート
「Sitpack」


今回は、水筒サイズで気軽に持ち運べる、デンマークで発想され、KickstarterとMakuakeの2つのクラウドファンディングサービスを通じて製品化された「Sitpack」を紹介しよう。

photo[プロフィール]

大谷和利
テクノロジーライター、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。アスキー新書より「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、エイ出版より「Macintosh名機図鑑」が好評発売中

イラスト
▲「Sitpack」のパッケージ。(クリックで拡大)


●どこでも座れるモバイル椅子

筆者は電車内などでも立ったままでいることを厭わないが、さすがに何かの行列が数十分に及ぶようならば、何かにもたれたいときもある。

同じような思いからデンマークで発想され、KickstarterとMakuakeの2つのクラウドファンディングサービスを通じて製品化されたのが、世界最小のモバイルシートであるSitpack(https://www.sitpack.dk。60ドル)だ。

携帯時のサイズが、直径65mm、長さ168mm、重さ560gと、小型の水筒程度のボリューム感で、バッグにも放り込んでおきやすいSitpackは、グラスファイバー強化のポリカーボネート製。展開時には最長87cmのTの字になり、垂直から40度程度までの角度で、最上部の水平部分にもたれることが可能となる。

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◀パッケージ内のSitpackは、このように、円筒形の本体に使い方ガイドや注意事項が書かれたスリーブを被せた状態で収納されている。(クリックで拡大)
photo ◀シンプルかつ分かりやすいイラスト入りで、使い方の基本を一目で理解できるスリーブの説明。(クリックで拡大)

 

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◀スリーブを外した本体。濃紺のSitpackステッカーは本来は貼られておらず、筆者がパッケージから剥がして貼ったもの。ロゴのTの字が、Sitpackの展開時の形になっている。(クリックで拡大)
photo ◀本体の上部には、このようなしっかりとしたヒンジ機構が備わっている。(クリックで拡大)


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◀同じく本体の底部には通気口(?)と、アウターシェルを開く際の指がかりとなるストライプ状の出っ張りが設けられている。(クリックで拡大)
photo ◀展開時に実際の腰掛部分となるアウターシェルを開くと、中には別の円筒状のパーツがある。その上部をスライドさせることで、シェル部分が直線状になる仕組みだ。(クリックで拡大)


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◀そして、その直下のシリンダーをひねることで、それより上の部分がロックされるようになっている。(クリックで拡大)


全体構造はカメラ用の一脚に近いが、カメラよりもはるかに重い荷重を支えるため、内部のロック機構の開発には、かなり苦労したようだ。

筆者も、実物が届くまでは強度やガタつきに関する懸念があったものの杞憂に終わり、ロック操作も確実で、まったく不安なく使うことができる。ただし、頻繁に伸縮を繰り返す性質の製品だけに、長期に渡って使い続けた場合の摩耗の影響がどのように現れるかは、現時点では未知数である。

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◀さらに、内部に脚部となるシリンダーが入れ子状に格納されており、それぞれを引き出してひねることで、ちょうどカメラ用の一脚のように伸ばした状態で固定することができる(実際には、一番上と下のシリンダーを握ってひねることで、一度に全体をロックすることが可能だ)。
(クリックで拡大)
photo ◀アウターシェルの内側には、製品名や使用上の注意事項、メーカー名、製造国が刻まれている。ちなみに、左右のシェルは完全な同形であり、どちらのシェルにもこの表示がある。(クリックで拡大)


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◀高さ調整は最も太いシリンダーでのみ行えるようになっており、65?87cmの範囲で伸縮できる設計だ。耐荷重は本国サイトやスリーブの説明では100kgまでだが、Makuakeの該当ページではなぜか130kgまでと、30kgの差がある。(クリックで拡大)


Sitpackは一脚形状だが、利用時にはユーザーの2本の足が加わるため、安定した三角形で身体を支えることになる。

接地部分のラバーフットにより、一般的な地面や床面であれば十分な摩擦力が得られるため、荷重をかけている限りは、不用意にスリップする危険性も低いと感じる。

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◀最も伸ばした状態で筆者がもたれかかったところ。地面と接する部分には(おそらくシリコーン製の)ラバーフットが付いており、このように砂がまかれたような場所でも安定して利用できる。(クリックで拡大)
photo ◀安全のための注意事項には、プロダクトデザインの心得がある者にとっては常識の範囲内のことが書かれている。しかし、一般消費者に販売する場合には、やはりここまで説明を徹底しないとならないのだろう。40分以上の連続使用はお勧めできないとあるが、現実的には、シェルがあたる部分を変えながら利用すれば、それ以上になっても大丈夫そうだ。(クリックで拡大)


日本市場を対象とするMakuakeのみでも4322人のサポーターを集めた製品なので、今後は国内でもSitpackの利用者を見かける機会が増えていきそうだ。



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