●1,100dpiの解像度を持つデジタルペン
ペン単体と専用ノートを利用して手書きのテキストやスケッチなどを電子機器に取り込む、光学読み取り式デジタルペンとしてはAnoto社のものが知られているが、N2もそれに類した技術だ。N2の場合には、nCodeと呼ぶパターンが1,100dpiの細かさでペン先の位置を特定できる座標の役割を果たし、どのような方向から書くことも、また、以前のページに戻って情報を書き加えることも、自在に行える。
専用ノートが必要となる点は、ある種の制約と言える一方、何らかのセンサーや発信機を普通紙のノートに取り付ける別方式のデジタルペンでは、キャリブレーションが必要となったり、個々のページを自動では識別できないなど、それぞれ一長一短がある。
特に従来の光学読み取り式デジタルペンは、軸が太い、読み取り時にレイテンシーがある、専用ノートが高価などの難点も目に付いたが、N2は、径が11.8ミリと一般の筆記具並みで、読み取りも120fpsと速く、ノートの価格もリーズナブルであり、無償アプリ(現状はWindows版のみ)を使って自分で印刷することも可能であるなど、弱点がほぼ解消されている。
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◀従来の光学読み取り式デジタルペンに比べてスリムに仕上がり、一般的な筆記具と同レベルのサイズ感で使えるN2。断面は、おむすび型(角の丸い三角)形状になっている。用スタンドである。(クリックで拡大)
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◀重厚感のある金属ボディに加え、樹脂製キャップの先端にはヘアライン加工を施したメタルパーツを配するなど、モダンな中に高級感を漂わせるような工夫がされている。(クリックで拡大) |
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◀電源スイッチは、ペン軸の尾部近くに位置している。(クリックで拡大)
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◀イッチの裏側に、電源状態を示すインジケーターランプがある。(クリックで拡大) |
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◀キャップには、クリップのすぐ上に小さな穴が設けられており、筆記時にキャップをペン軸の尾部に差した状態でもインジケーターランプの状態を確認できるようになっている。クリックで拡大)
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軸の細さには、パターンを読み取る赤外線センサーカメラを中心に内部機構の小型化を徹底した点が大きく貢献している。にもかかわらず、2時間の充電で5時間の連続使用が可能であるなど、実用的な稼働時間が確保されている。
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◀光学読み取り式デジタルペンの特徴である先端部の赤外線センサーカメラ。この内部機構の大きさがペン軸の太さに反映される。また、ペン先の直下に段になった箇所が見えるが、これはユニークなキャップ機構と関係している。
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◀キャップの内部には、三つ葉のクローバー形状のキャッチパーツが奥から手前に向かって伸びており、どの向きに差し込んでも確実にペン先を固定する仕組みだ。(クリックで拡大) |
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◀ペンの尾部には充電用のマイクロUSBポートと、唯一露出しているネジがある。2時間の充電で5時間の連続使用ができ、通常の利用であれば2、3日はバッテリーが持つ。。(クリックで拡大)
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Anotoペンと同じく、ノート上のアイコンを特定の機能と紐付けできる仕組みも実現されているが、現時点では、書かれた内容をSVG形式でメールすることにしか使われていないのは、もったいない気がする。
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◀専用ノートに印刷されたnCodeのドットパターンがN2にとっての座標的な役割を果たし、1,100dpiの解像度、120fpsのスピード、256段階の筆圧で描画を記録する。また、メールアイコンをチェックすると、あらかじめ指定しておいたアドレスに描画内容がSVGデータとして送られる。(クリックで拡大)
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また、ノートの種類も、まだ3種類と限られているが、今後、充実していく見込みだ。
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◀現時点で専用ノートは、ポケットノート(83×148ミリ、罫線)、メモノート(同、グリッド)、リングノート(150×200ミリ、罫線)の3種が用意されている。写真は、ポケットノートとリングノート。(クリックで拡大)
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Bluetooth LEによって接続される専用アプリには、専用ノートに書いた内容がリアルタイムで反映されるほか、オフライン状態でも最大1,000ページ分のデータをペン内に蓄え、アプリとつながった時点で転送する機能も備えている(ただし、まだバグが残っているようで、うまく転送されないことがある)。
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◀専用アプリには、使用しているノートのデジタルバージョンが表示される。(クリックで拡大)
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◀ノートのページは、日付(カレンダー)、タグ、キーワードの3通りの方法で探すことができる。(クリックで拡大)
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◀デジタル版のノートのページにも、線の強弱を含めて、筆跡が再現される。(クリックで拡大) |
記録されるものがストロークデータであることの利点を生かして、書いている様子をプレイバックしたり、ボイスメモとシンクロ再生することができる。後者は、音声に合わせて文字などが太く表示されることで再生位置が分かるのだが、個人的には、テキストのタップで音声の頭出しができるとなお良いと感じた。この点は、今後の改良に期待したい。
また、実際のペンの色はブラック1色(入手が容易な0.7ミリのD1リフィル)のみだが、画面上では色や太さの設定が可能だ。
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◀記録されているのはストロークデータであるため、書く過程をそのまま再現することが可能。この機能は、イラストなどの描き方を学ぶ場合などにも応用できる。(クリックで拡大)
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◀このようにかなり乱雑に素早く書いたノートページであっても、N2はほぼ忠実に専用アプリ上に再現することができ、記録時にボイスメモ機能をオンにしておけば、音声に合わせた再生も可能だ(ただし、原稿執筆時のアプリには、再生中の箇所が分かりにくいという難点がある)。(クリックで拡大)
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◀実際のペンの色はブラックのみだが、画面上のパレットから色や太さを選択して書き分けられるようになっている。(クリックで拡大)
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さらに、専用アプリには、そこそこ丁寧に書けば、かなりの認識率が得られる文字認識技術も搭載されており、ユーザーによっては利用価値が高いだろう。
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◀たとえば、このような手書き文字でも、筆記変換機能を使えば、ほぼ正確に認識される(この例では、”Neo”が”No”と誤認識されている)。対応言語は、今のところ、「日本語」、「英語」、「韓国語」の3ヶ国語である。(クリックで拡大)
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まだ発売されて間もないためか、バグと思われる部分も残っているが、それが解消されれば、N2は、デジタルペンの真打ち的な存在になれる素質を持った製品である。
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