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モバイルデザイン考 第120回 (2018年10月1日更新)

360度撮影も3D撮影も可能な
ハイブリッドVRカメラ「QooCam」

今回紹介するQooCamは、後発ながら画角180度の3D写真や動画の撮影も可能になるという新たなアイデアを持ったユニークなVRカメラだ。

photo[プロフィール]

大谷和利
テクノロジーライター、AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。講談社現代ビジネスブックより「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか 一枚の写真が企業の運命を決める」、三省堂より「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著)、宣伝会議より「ビジュアルシフト」(監修)が好評発売中


▲「QooCam」のパッケージ。(クリックで拡大)


●画角180度の3D写真も撮れるVRカメラ

昨今ではFacebookやYoutubeなどの共有プラットフォームでも360度のVR映像が再生可能なことや、安価なVRゴーグルが出回るようになったこともあり、VRカメラへの関心が高まっていると感じる。当然、この潜在的な需要に着目する新興企業も現れており、以前にもその1つである深センのアラシビジョンのInsta 360 Oneを紹介したことがあった。

今回紹介するQooCamは、後発ながら新たなアイデアをもってこの市場の攻略に乗り出したカンダオのユニークなVRカメラだ。
https://youtu.be/mua79cdxcZM

一番の特徴は、そのまま撮れば360度のVR写真や動画の撮影となるが、筐体の中程を90度曲げる(実際には45度の面に沿って回転させる)ことで、画角180度の3D写真や動画の撮影も可能になる点だ。そのため、レンズと撮像素子をそれぞれ3個ずつ搭載しており、そのうちの2個を、360度撮影とVR撮影で使い分ける仕組みになっている。

構造上、他の360度カメラに比べて長さが1.5~2倍ほどもあり、携帯にはやや不便だが、レンズとグリップ位置が離れるために単体での手持ち撮影でも手が映り込みにくいというメリットもある。また、何より用途に応じて変形するというアイデアが実現されていることは魅力的であり、製品としての仕上がりの水準も高いといえる(初期ロットでは、底部の三脚穴付近の強度が不足気味なユニットも存在したが、すぐに対策が行われた)。

photo

▲QooCamにはレンズが計3個内蔵され、上部の前後2個で360度撮影、同一面の2個で180度3D撮影を行える仕組みだ。ただし、同時に両方の撮影機能を利用することはできない。また、レンズが1個のみの面に電源ボタンがあり、逆の面のグリップ部分にシャッターボタンが備わる。(クリックで拡大)



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▲側面から見ると、レンズ配置がさらによく分かる。以前に紹介したInsta360 Oneなどと同じく、360度撮影用のレンズは前後で位置がずれているが、実用上はほぼ問題ない。また、片側の側面に、マイクロSDカードスロット(上側)とマイクロUSB充電ポートがある。3つ並んだ小さな穴は確認音などを発するスピーカーだ。(クリックで拡大)











360度カメラは、筐体が写り込まないようにするために、レンズカバー機構などに余計なスペースを割くことができない。そこで、携行時には常にケースや袋に入れるか、別体のレンズ保護カバーを装着することが必要となる。
QooCamにもレンズ保護カバーが付属しており、これを装着することで、3個のレンズがすべて覆われるようになっている。




▲この種のカメラのレンズは不可避的に厚みがあり、しかもむき出し状態なので、QooCamの場合には、このような脱着式の保護カバーが付属する。(クリックで拡大)




▲保護カバーを装着するとこのようになり、単体で持ち歩くときにレンズを傷つける心配が減る。(クリックで拡大)









最近では、映像だけでなく音声のVR、つまり360度録音・再生の環境も整備されつつあるが、QooCamの場合には、シンプルなモノラル録音となっている。このためのマイク穴は、筐体の頭頂部に1つだけ空けられている。



▲筐体の頭頂部にはマイク用の穴が空いている。当然ながらモノラル録音で、音声のVR収録などには対応していない。
。(クリックで拡大)










デザイナーの皆さんであれば、すぐに頭の中シミュレーションできるものと思うが、変形機構に関して、QooCamのように棒状の筐体を45度の面で回転させて90度曲がった状態を作り出す場合、断面が円形だと、曲げた状態のときにはみ出す部分が出てくる。

これを避けるためには、45度の面が真円となるように、真っ直ぐな状態の断面を楕円にする必要がある。QooCamの断面が第円形なのも、この点を考慮したものだ。また、変形に合わせて、シャッターボタン横の撮影モードを示すインジケーターランプが切り替わる。変形後の形を見れば、現在の撮影モードは明らかではあるが、親切な配慮といえるだろう。




▲底面には三脚穴も備わるが、おそらく内部構造との関係で中央ではなく偏った位置にある。断面が楕円形なのは、変形機構と関係している(本文参照)。(クリックで拡大)





▲QooCamは、180度3D撮影を行う際に、このように変形し、撮影用の2個のレンズが左右に並ぶようになる。左端が変形途中、中央が変形後の撮影者側の面、そして右端が変形後の被写体側の面だ。(クリックで拡大)



▲電源ボタンの上のインジケーターランプは、上がWi-Fi機能、下が電源のオン/オフ状態を示す。Wi-Fiは、カメラ単体での撮影時には不要なので、節電のためにオフにできるようになっている。(クリックで拡大)








▲シャッターボタンの右側にあるインジケーターランプは、グリップの状態に応じて自動的に切り替わって、現在の撮影モード(360/3D)を示してくれる。(クリックで拡大)









オプションの付属品が充実しているものQooCamの特徴で、どちらも汎用品をアレンジしたものだが、撮影用伸縮式スティックとBluetoothリモコンなどが用意されている。



▲付属の充電ケーブルは、マイクロUSBのコネクタが横出しとなっている。これは、給電しながら360度撮影を行う場合でも、コネクタが写り込まないようにするための工夫と考えられる。(クリックで拡大)





▲同じく付属の撮影用伸縮式スティックは、縮めた状態でも結構長めである。(クリックで拡大)



▲三脚穴を使って固定するためのプレート部分も本体の断面に合わせた楕円形になっている。(クリックで拡大)








▲QooCamは、スマートフォンアプリからのリモートシャッター機能も利用できるが、単体撮影用にBluetoothリモコンも付属する。リモコンユニット自体はダイソーなどでも販売されている汎用品だ。また、このように撮影用スティックに取り付けられるのだが、はめ込むためのアダプタパーツは、強度や保磁力の点でやや心もとない。(クリックで拡大)








QooCamは、まさにデジタルだから可能な構造とデザインを持つカメラである。できれば、この特徴的な可変デザインを将来に渡って発展させていって欲しいと思う。








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