┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第12号・・・2011/3/28       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ 東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。 1日も早い復興をお祈り申し上げます。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第12号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:ギョーカイに一言 第11回:西山浩平氏 ●上海的モノ生活 第6回:上海のホテルはレベル高し! ●書籍「デザイナーズFILE 2011」刊行のお知らせ ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:ギョーカイに一言 第11回:西山浩平氏 デザイン・コレクティブ デザイン・コレクティブという考え方はできないだろうか。 コレクティブ(collective )は直訳すると集団的な、結合したという意味だ が、積極的に意訳すると、統一した意識・戦術の下、組織として行動するとい った意味合いを持つこともある。デザイン・コレクティブというのは新しい概 念だが、この言葉が示唆するのは、デザイナーやデザイン事務所がデザインの ライセンスを持ち寄ることで、なるべく安全にそして、フェアにメーカーに対 してライセンスできるようにすることである。デザイン資産を持ち寄って共同 で管理して、その価値を最大化しましょう、という意味に捉えてもらってもよ い。 近年、生産の拠点は、日本から中国を中心とする海外に移り、さらにものによ ってはそこから、ブラジルやベトナムへと移り変わりつつある。興味深いのは、 消費地の国民所得のレベルと需要の中身は連動するため、日本ではすでに売れ なくなったものでも、海外ではこれから需要が見込める場合もある。しかし、 個人のデザイナーにとって、海外のどこで、ライセンスが可能かということを 調べ上げるのは、実際困難である。市場の発達が国によって大きく異なり、そ れがゆえに、さまざまな機会がある今日においては、デザイナーが持っている ライセンスは、必ずしも活用されきれていないのが実情ではないだろうか? この問題に対して、個々のデザイナーが持っているロイヤリティを生むライセ ンスを集めて、1つの組合のような組織にすることで、メーカーにもデザイナ ーにもメリットのある状況ができるはずである。デザイナーは海外の企業にも アクセスできるようになるし、個人では高くて手が出ないロイヤリティ監査と いった、監査法人のサービスも受けられるようになる。企業は統一されたライ センスのスキームで契約することができるので、法務の手続きも簡素化される はずである。メーカーからデザイナーへ一括支払いができるようになれば、ま すますメーカーにとっての利便性は上がるだろう。 インターネットの普及とともに、デジタルコンテンツの複製、流通のあり方は 一変した。このような急激な社会環境の変化を背景に、クリエイティブ・コモ ンズ(CC)が生まれたことは、記憶に新しい。クリエイティブ・コモンズ(CC) は著作物を創造したときに発生する著作権を、インターネット上で使いやすく するために存在している。 彼らのホームページ(http://creativecommons.jp/licenses/#ixzz1HawpbSCy) では「CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自 由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミ ックスなどをすることができます」としているが、基本的にCCは流通、共有、 加工を促すことを目的としていることが分かる。そして、無料でライセンスを オンラインで設定することができ、インターネット時代への相応しさを備えて いる。 一方、工業デザインなどにおけるデザインは共有、加工を促すのではなく、特 定のメーカーに対して独占的に製造のライセンスを許可することで、知的財産 を現金化することを目的としている。国が定める知的財産権制度は、「人間の 幅広い知的創造活動の成果について、その創作者に一定期間の権利保護を与え るようにしている」としている点がCCとは異なる。つまり、知的創造活動によ って生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度として 機能している(知的財産基本法)。現行の知的財産権制度は、創作者の権利を 保護するため、元来自由利用できる情報を、弁理士や特許庁が判断をすること で、社会が必要とする限度で自由を制限しているといえる。 特許権、実用新案権、意匠権、商標権は、排他的に支配できる「絶対的独占権」 を与えられるが、すべてのデザインがこれらの独占権を得られるとも限らない。 そして、登録にフィーが必要なばかりか、弁理士の力を借りることなくしては、 権利を取得することは、ままならない。つまり、多くのデザイナーが生み出す デザインは、必ずしも既存の知的財産権制度では適用されない状況におかれて いる。しかし、かといってCCのライセンスでは、メーカーからライセンス料を 得ることを可能にしない。 「知的財産立国」とは、発明・創作を尊重するという国の方向を明らかにし、 モノ作りに加えて、技術、デザイン、ブランドや音楽・映画等のコンテンツと いった価値ある「情報づくり」、すなわち無形資産の創造を産業の基盤に据え ることにより、我が国経済・社会の再活性化を図るというビジョンに裏打ちさ れた国家戦略である(2002年7月「知的財産戦略大綱」)。私たちは、現在この ような知的財産権を守ろうとする国が示す方向性のなかで生きている。もし、 民間で、現行制度ではカバーされないデザインのライセンスの分野に新たな方 向性が打ち出せたら、社会的なインパクトは大きいはずである。 デザイナーやデザイン事務所がデザインのライセンスを持ち寄ることで、大き なデザインのライセンスプールを作ることができて、共同で管理できるように なったら、これまで以上に安全にそして、フェアにメーカーに対してライセン スできるようになるはずである。デザイン・コレクティブという考えに賛同す るデザイナーが増えれば、これまで活用されていなかったデザイン資産の価値 を最大化が図れるだけでなく、さらによりきめ細かな、ライセンスができるよ うになる。デザインをメーカーにライセンスしているデザイナーが私の考えに 共鳴してくれて、仲間に加わってもらえたらこんなにうれしいことはない。 西山浩平 エレファントデザイン株式会社 代表取締役 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●上海的モノ生活 第6回 上海のホテルはレベル高し! 稲吉実菜子/フリーライター 一大観光都市である上海に建つホテルは数えきれないほどで、中国系、外資系 はもちろん、日系ホテルまでバラエティ豊か。今回はそんな数多いホテルのな かでもひときわ異彩を放っている「デザイナーズホテルin上海」について。 ○高級外資系ホテルに続くのはデザイナーズホテル? 老舗の中国系ホテルはもちろん、ザ・ペニンシュラ、リッツ・カールトン、パ ークハイアットなどなど、外資系高級ホテルで上海未上陸のホテルはすでにな いのでは? というほど上海のホテルは充実しています。 そんななかもはや高級ホテルなだけでは飽き足らない人に注目を集めているの が上海のデザイナーズホテルの筆頭株とも言うべき「The Puli Hotel and Spa」 と「URBN hotels」です。 客室がモダンで機能的にまとめられているのは当然ながら、どちらもホテルに 入ってすぐのラウンジとレストランが秀逸です。大型ホテルと違って静かでの んびりとした雰囲気が漂うので、市内の喧噪に疲れたときなどお茶だけをしに カフェ感覚で寄るのに最適なのです。さらに高級ホテルに比べて価格も安めだ し、Wi-Fiもバッチリなのが良いところ。 ○「サスティナビリティ」をコンセプトに とくにユニークなのが2008年に登場した「URBN hotels」。上海ではまだまだ 耳にする機会もそこまで多くない「サスティナビリティ」をメインコンセプト に、もともと工場の倉庫だった場所をリノベートし、インテリアも100%地元 の資源やリサイクルの原料でまかなったという徹底振りです。 それ以外にも最近はまず飲めないとされている水道水を徹底的に浄水するシス テムを導入し、ホテル内で提供される食材はすべてそのピュアな水で洗うなど、 安心できる食への取り組みは群を抜いています。 実際、カフェ感覚で気軽に使えるレストランは、NYのダウンタウンにでもあり そうな木材を多用したカジュアルな雰囲気で、メニューも野菜を多く使った身 体に優しいもので、これらまだまだ上海では目新しい存在です。 ○ユースホステルまでもオシャレ? 一方、リーズナブルに仕上げたい旅行者にとっても上海は優しい街。市内中心 に複数あるユースホステルは「え、ここが?」と疑ってしまうほど、ほどよく レトロでおしゃれ場所なのです。 実際、友人が上海に遊びに来たときに泊まったので敷地内に入ってみたところ、 大昔に日本で泊まった黄色く変色した畳部屋YHとは大違いの居心地の良い空間 が広がっていてとてもびっくりしました。カフェも併設されているし、当然ホ テルとは比べ物にならないほど安いし、友達も満足だったようです。 と、東京やNYではあまりご縁がなかったホテルですが、上海はバーやラウンジ を使ってもそれほど高額にならないので利用価値は大。豪華な雰囲気の老舗系 からモダンなデザイナーズホテルまで、ホテルウォッチングをしてみるのもま た面白いかもしれません。 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●書籍「デザイナーズFILE 2011」発売中! 「デザイナーズFILE 2011」 プロダクト、インテリア、工業製品を創るデザイナーズガイドブック 日本のモノ作りを牽引する第一線のデザイナー/デザイン事務所126組の最新 の仕事が一望できるガイドブックです。デザイナー探しに、デザインを志す人 たちの指標として、あるいは写真集として、ぜひご活用ください。 価格:3,000円 [本体2,857円]+税  体裁:A5判/304ページ/オールカラー 編集制作:カラーズ 発売:ソフトバンククリエイティブ http://www.sbcr.jp/products/4797364163.html ▽表紙イメージ(+背表紙) http://pdweb.jp/mailmag/10_df2011cover.jpg ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 ○東日本大震災の被災者の皆様に、改めて心よりお見舞い申し上げます。福島 の原発は今現在も収束しておらず、地震、津波、原発事故が残した傷跡の深さ は計り知れません。ただ報道されるのは、寡黙だけれど勤勉で逞しく、復興へ の意欲に満ちた日本人の姿です。原発のあり方も含め、新しい日本のグランド デザインが必要なのかもしれません。(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.12 2011年3月28日発行 2,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. 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