┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第2号・・・2010/05/26      編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第2号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:ギョーカイに一言 第2回:西山浩平氏 ●データから知る日本のモノ作り2010 第2回:今後日本のモノ作りは、どんなジャンルの製品に注力すればよいか? ●「pdwebデザインコンペ2010」のご案内 ●編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆6月14日(月)に設計・製造ソリューション臨時増刊号を配信予定!◆◆ pdwebメールマガジンでは6月14日にDMS向けの臨時増刊号」を計画しています。 協賛企業募集中です。 お問い合わせはこちらまで→ info@pdweb.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:ギョーカイに一言 第2回:西山浩平氏 「1:30」を「30:1」にしよう。 デスクトップマニュファクチャリングという言葉がある。デスクトップパブリ ッシングが卓上での出版を意味するのに対して、卓上での生産を意味する。旋 盤などモノ作りの基本となる工具を小型のロボットアームにつないで、各家庭 でモノ作りができるようにしようというコンセプトが、MITをはじめさまざまな ところで提唱され、実験されている。 まだまだ実験段階のコンセプトであるが、実現すれば製造業、流通業の在り方 が大きく変わるであろう。出版業界がインターネットと編集ソフトで大きく変 貌したように、モノ作りの在り方が大きく変わろうとしている。 モノ作りの動向に詳しい人間は、今や世界の工場となった中国の次をベトナム やブラジルに見いだそうとしていない。つまりWhats Next? は、ユーザーの自 宅にあると考えている。中国の10億人を上回る、65億人という規模で生産拠点 が生まれようというのだから、インパクトは大きい。 ポスト中国の生産様式は、ビジネスサイドのみならず、これまで消費者にとど まっていた個人を、生産者に変身させることを意味する。このことは、さまざ まなことに影響を及ぼすであろう。近未来に個人が消費者と生産者の双方を担 うと、当たり前だがお金の使い方と給与のもらい方が変わる。給与をもらって 消費するだけだった個人が、仕入れて、投資をして、販売をするようになるの で、個人が扱うお金の量も経路も変化する。つまりお金の流れが変わる。 個人が自宅で生産者として業を営む時代は、実はすでに到来している。自宅で 作曲をしたり、映像を加工してそれをオンラインで販売している個人は、この 20年で急激に増加している。生産物がデジタルでなくとも、最近はお菓子や、 手芸品といった自宅のキッチンやミシンで作れるものが、ネットで販売される ようになってきている。 日本には企業がおよそ433万社ある。国民を消費者としてカウントした場合、消 費者30人に対して、企業が1社ある勘定だ。しかし個人が事業を自宅で行うよう になると、個人が事業者になるので30:1というバランスがだんだん、1:1に近 づいてくるかもしれない。つまり、生産者の数と消費者の数が同一になってく る。 そして1人が複数の商品の生産を行い、複数の事業主体者になれば理論上は1: 10、といったこれまでの比率は逆転する。1:30といった今とは逆の消費者1人に 30社の企業があるという未来も十分に可能だ。国民よりも、企業が多く存在する 社会の実現だ。 1,000万人以上いる定年退職をした個人が、小さな規模の生産者としての役割を エンジョイできるかもしれない。現在サラリーマンとして雇用されている人も 週末や早朝の時間を利用して生産者になることだってできる。その観点からい えば主婦が生産者になるインパクトは絶大だ。趣味の多い人ほど、複数の起業 ができるかもしれない。 個人が生産者となるメリットは、自分が得意なことを通じて社会参加ができる ことだ。これまで社会と消費だけでしか繋がっていなかった人は、消費できる 金額分しか社会に参加できない。それを越えた社会参加をするには、借金をす るか、社会参加を諦めるしかない。これは個人が持っている社会に貢献できる 能力の無駄遣いである。 なぜなら、私たち個人は消費以上の社会参加ができる素質を皆持っているから である。 アップルが提供する「App Store」のようなプラットホームを活用して、個人が 小さな事業を営むケースは日々増加している。 一部の人のみがヒット商品を生 み出し、多くの人は期待した通りの結果を出していないのが実情であったとし ても、個人が販売までできる社会が到来することのインパクトは社会にとっても 個人にとっても大変に大きい。 西山浩平 エレファントデザイン株式会社 代表取締役 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆自社広告◆◆取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品◆ info@pdweb.jp ◆ 企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 お問い合わせはカラーズ(有)マーケティング部「制作依頼」までメールにて。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●データから知る日本のモノ作り2010 第2回:今後日本のモノ作りは、どんなジャンルの製品に注力すればよいか? 今回は前回アンケートの後半です。「今後日本のモノ作りは、どんなジャンル の製品に注力すればよいとお考えですか?」と「デザイナーとして今後手掛け てみたいジャンルの製品はなんですか?」の2問をプロダクトデザイナー236名 の方々にたずねました。以下、集計結果と皆様のコメントを抜粋して紹介して いきます。 ※アンケート送信数236人/有効回答数51人(2010年4月9日締め切りで実施) ○今回のアンケート質問項目 ●今後日本のモノ作りは、どんなジャンルの製品に注力すればよいとお考えで すか? ▽アンケート回答 次世代エネルギー関連:6票 サービス/コンテンツ:6票 EV:6票 伝統工芸:6票 産業機器:5票 エコ/省エネ関連:5票 すべて:5票 高齢者/障害者向け:4票 ロボット:2票 最先端技術:2票 その他(2票以下):医療系、ユーザーインターフェイス系、新ジャンル/新コ ンセプト・・・。 ▽主なコメントから ・日本は電気関連商品(家電、車含む)がやはり強く、ここを注力して元気にす る必要があると思います。ですが、デザインや価格は正直大差がなくなり、また ブランド力も低下しています。「もの作り日本」に執着してしまうのではなく、 日本人のもともと持っている気質である、「きくばり」などが表現できる使いや すいUIのシステム化にもっと取り組むべきだと考えます。また、日本以外のアジ ア関連のメーカーは「コストやスピード」で世界を席巻していますが、特に、UI 関連には弱いと言わざるを得ません(経験ですが時間をかけて詰めていくことが 苦手だと思われます)ですので、研究積み上げ型のUIは日本人にはとても合って いると考えています。(宮沢哲) ・繊細な感覚と美意識、誠実で勤勉な国民性。日本の製品にはそのような気質が 表れています。その良さを失わず新たなジャンルに挑戦して欲しいと思います (安島諭) ・付加価値は、単に素材が希有であるとか、優れた技術の賜物であるとか、著名 なデザイナーが手掛けたとか、期間限定であるといったことではなく、そのモノ が、どのような「コト」を実現させてくれるかという部分にこそ見いだされるべ きではないかと思う。たとえば、そのモノを持つことで、きめ細やかで丁寧なア フターサービスを受けられるとか、そのモノを購入することで地球の森林環境保 全の役に立てる、等。ただただ単体として優れたモノを作って売る、という時代 ではなくなりつつあると思う。(清水慶太) ・日本の製造技術は世界一であるが、その技術力に偏り過ぎて、本当に売れる、 欲しがる製品作りを全く怠ってきたと思います。特に、既存メーカー主導の今ま で通りの製品作りには限界がきており、今後はデザインが主体となる製品製品作り が日本を救うと考えています。仕組みとして社内デザイナー(インハウス)がモノ を作り出す方法はもう限界だと思います。特に家電品などは良い例だと思います。 異業種間の技術互換による新製品開発が今後の日本の製品作りの方法の1つだと思 います。仕組みとしてデザイナー同士の異業種交流などをどんどん行いデザインか ら商品作りを活性化するのが良いと考えています。(鉢呂文秀) ・自動車業界は言うに及ばず、産業の構造が変化し、需要と供給のバランスが崩 れているので、まずは現在までの構造を読み解き、日本の工業製造力を再配分す る必要がある。正しいターゲッティングのためにデザイナーの役割は多くある。 (NOSIGNER) ・先進技術分野ではやはりロボットやEVは考えないわけにはいかないが、日本の 職人技術は逆に世界からの追従を許さない強みになりえると思います。職人技と 先進技術がコンバインしたときに非常に秀逸な製品開発が可能になりえると思い ます。(宮田典昭)  ・ないモノを世に出す能力が長けているだけに、頭脳労働部分をパテントビジネ スに。実際のモノは諸外国で製造する方法。多品種少量短納期が実現できる企業 あるいはパテント生産できる工場のみ国内では生きられると思う。(岩田浩司) ・小型で単価の高いモノが、輸出国としては有利。(浅岡肇) ・伝統技術とハイテクが融合された製品、発想力豊かな製品、エシカル(道徳) を視点とした製品。すでに、エコロジー、ユニバーサルなどの単体ではなく、エ シカルデザインという視点が不可欠。(井藤隆志) ・今までの物にこだわったモノ作りは行き詰まっているように思います。もっと インフラやソフトなどと合わせてモノ作りをすべきです。(匿名希望) ・世界共通の現在、日本独自の! という商品は少ないと思います。どの先進国 でも大体同じようなものを生産しています。なので、ジャンルを特定するのは難 しいです。ジャンルよりもむしろ、世界トップクラスである機能面とか品質面を 継続して重視すれば良いと思います。「日本製品→使える→壊れない→経済的→ 捨てない→エコ」みたいな感じでしょうか。(阿武優吉) ・次の時代への「橋渡し」的視点で、高度成長期に失ったモノを復活させる「し くみ直し」が必要。(後藤規文) ・最先端をいっているモノには国を挙げて膨大な支援と応援をすれば、日本は活 性化してくるような気がします。(岡本麻理) ・特定のジャンルに注力することももちろん重要なのですが、一度、先端技術か ら伝統技術までを総点検し、それらを整理・ 編集することで日本の強さの輪郭を 再度浮かび上がらせる必要があります。例えば、「ジャンルとしては『最先端分 野の機器』であっても、実はコアの部分に、 日本が伝統的に培ったが生かされて いる」というパターンを見つけられないかということです。日本の持つ技術を、 ジャンルを横断的に集約すれば、簡単には真似のできない「新たなジャンル」が 創出できると思います(もちろん、簡単なことではないですが)。(山口英文) ●デザイナーとして今後手掛けてみたいジャンルの製品はなんですか? ▽アンケート回答 すべて:5票 家電:4票 高齢者/障害者向け:4票 家具/インテリア:4票 ロボット:3票 日用品:3票 EV:2票 携帯電話:2票 伝統工芸品:2票 農業関連:2票 鉄道車両:2票 その他(2票以下):腕時計、子供用品、人工臓器、宇宙用品、ホームオートメ ーション、新ジャンル・・・。 ▽主なコメントから ・「生活に係わる全てのジャンル、家電〜雑貨」 いくつもの場面に潜在欲求不満は存在している。それを解消するためのいくつも のアイデアを結びつける能力を、特にデザイナーは有していると思っている。い くつものアイデアから、シンプルな機能を持った商品を生むと言う一見矛盾した かのような開発ストーリーに取り組んでいきたい。(和田功) ・「伝統工芸品」 昔ながらの道具を現代の道具として生まれ変われせられるかは、デザイナー自身 の力量を問われるところなので、挑戦してみたい。(有川信彦) ・「携帯電話、屋内設備(スイッチ部分など地味なもの)」 単に物の形でデザインを表現するのではなく、人の行為に即したシーンをデザイ ンしたい。場合によっては目に見えないようにしてしまうなど、、、。(田中英 明) ・「農業関連」 デザインが貢献できる要素が確実にありそうだから。(後藤規文) ・「ジャンル」そのものを生み出していくのが今後のデザイナーの役割になって くると思います。(重野貴) ・「医療機関の空間デザイン及び高齢者、身体機能不自由者向け製品、垣根を越 えたコミュケーションツール」 小さな頃からの入院体験を通じ、空間や設備のプアさ、素っ気なさが窮屈であり、 心が沈んでしまう原因だと感じていました。弱った時こそデザインで、気持ちを 明るくすることができるのではと思います。体力あるうちに手掛けて、自分がい ざ使うときには格好いいもの、心弾むものを使いたいです。(田中行) ・「職人の技術によって成り立つ製品・エコプロダクト」 日本ならではの考え方。美しさを製品に表現したいです。(是枝靖久) ・「農業」という一見デザインとは無縁な世界に、デザイナーの視点から現在の 問題をクリアしていくことが可能だと思う。それはシステムやサービスを踏まえ、 形としてのアウトプットではないデザイン。(根本崇史) ・保守的な経営者に未来を託してはならない。従来の産業振興は完全に意味や効 力を失っている。(三原昌平) ご協力ありがとうございました。 (敬称略) ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●「pdwebデザインコンペ2010」のご案内 「明日のカタチ、生きたカタチを求めて」 pdwebデザインコンペ2010は、読者によるデザインコンペです。 ※以下省略(本サイトと同内容) http://pdweb.jp/dsgncmp2010/index.html ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 ○今回は前回のアンケートの続きをまとめさせていただきました。興味深かっ たのは、「今後日本のモノ作りは、どんなジャンルの製品に注力すればよいと お考えですか?」という設問のご回答で、次世代エネルギー関連やサービスが 上位を占めていたことです。伝統工芸が上位だったのも見逃せません。自動車 や家電はどこにいってしまったのでしょう?(A) ○今号も西山氏のコラム、皆様からのコメントと、非常に充実した内容をお届 けできたと思います。皆様の1行1行には、これまでの経験に基づく深い洞察を 感じます。これからも濃厚なメッセージを配信できればと思います。デザイナ ーの皆様、クライアントの皆様、よろしくお願いいたします。(M) pdwebメールマガジンNo.02 2010年5月26日発行 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される方は、 pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたします。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. 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