┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第94号・・・2018/1/22       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第94号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第70回:石橋忠人/有限会社アイディーエル ●編集長のミニコラム 「デザイナーズFILE 2018」 ●pdwebなどの2018年度媒体資料のご案内 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第70回:石橋忠人/有限会社アイディーエル ○「分かる」ための引き出しの中身 プロダクトデザイナーの石橋忠人と申します。業界の末席を汚させていただい ております。 オーディオメーカーのインハウスデザイナーを経て独立してから早15年、ちょ っと怒られてしまうかもしれませんが、 最近決めているのは分からない人に は分からないからがんばるのやめちゃおうということです。 「分かる」ということは、自分が過去に体験、見聞きしたことで増えた引き出 しの中身を確認して、自分なりのやり方でひもづけて、そしてやっと目の前の 分からなかったことに輪郭が立ち現れる。つまり腑に落ちるわけですよね。イ ンハウスデザイナーの時にも分かってもらうことは楽ではありませんでしたが、 それでも企画も営業も設計も同じような引き出しを皆持っていて、分かる手助 けとなる暗黙知がありました。 「日本には大企業のインハウスデザイナーが多すぎる。素晴らしい技術をもっ た中小企業ともっと仕事をするべきなのだー!」と、若かった私は鼻息荒く会 社を飛び出してフリーランスになりました。そして、クライアントによっては 分かってもらうために本当に多くの時間を費やしましたが、費やした時間に比 例して必ずしも良い成果が出るわけではありません。 でも、分かってもらうための工夫がそのまま仕事になることもあります。 ○ユーザーとクライアントの間で 以前、アジア市場で元気のなかったアメリカの光学機器メーカーとコンパクト カメラのデザイン開発を行ったのですが、当時の彼らの商品は「カッコ良かっ た」のです。前後パネルの勘合部に細いシャッターボタンをスっと馴染ませた スタイリッシュな佇まい。「ちょっと写真撮ってもらっていいですか? あ、 そこの銀色の細長いヤツがシャッターです。」というデザインだったのです。 それがアジアのユーザーには分かってもらえなかった。 そこで仲間のコンセプター、ワダケンジ氏とも協業して、「シャッターボタン は丸くていいんじゃないですか? もっと普通でいいんじゃないですか?」と いうことをあの手この手で伝え、最終的にはアジア圏のユーザー調査で弊社の デザイン案が最も高い評価を得ました。ユーザーに分かってもらえることをク ライアントに分かってもらったわけです。ユーザー調査の好感触が出た直後に、 事業撤退のニュースを新聞で知ったのも思い出です。 画像:コンパクトカメラのコンセプトブック http://pdweb.jp/editorsnote/1801_conceptbook.jpg 画像:実際の製品 http://pdweb.jp/editorsnote/1801_dsc.jpg 次に見ていただきたいのは、2015年にデザインしたシャンプーボトルです。 画像:シャンプーボトル http://pdweb.jp/editorsnote/1801_reveur.jpg 詰め替え用のリフィルをボトルに詰め替えずにそのまま使っちゃおうというパ ッケージングです。空気に触れる機会がないので、酸化に弱い植物油を贅沢に 使えるという意図で始まった開発でした。私がプロジェクトに呼ばれた当初は、 中身を使い切るためにリフィルが逆さまにレイアウトされた構造で検討が進ん でおり、ひと目見てこれはユーザーに分かってもらえなくて失敗するパターン だ…と私は感じました。 依頼を受けた帰りの電車の中で、一般的なシャンプーボトルの輪郭だけ透明に 残したスケッチを描きました。普通のシャンプーボトルの手がかりを残せば、 分かりやすさとおもしろさが両方手に入ると考えたからです。幸いこのクライ アントは私の意図を分かっていただき、そのアイデアで突き進むことができた のですが、リフィルを立てた状態で最後まで中身を使い切り、なおかつ一般的 な収納空間に収めるというのは非常に難しく、いくつ試作を作ったか分かりま せんが、その話は横道にそれるので割愛します。 ○世界中で引き出しの共有を 分かるための引き出しの話しに戻すと、お国が変われば引き出しの中身は大き く違います。2010年に経産省主催の中国派遣事業に選抜いただき、上海を訪れ ました。その機会をきっかけに仲間のデザイナー、倉本仁さんやアンドデザイ ンの皆さんとともに中国や台湾で仕事をしています。 以前は呼ばれれば中国全土どこにでも出向いていたのですが、いつまでたって もお互いの理解が進まない、言葉だけでなく、引き出しの中身も全然違うため にプロジェクトのスタートが切れないのです。しかしここ数年で潮目が変わり 成果が出てきました。私たちの仕事を分かってくれる良き中国や台湾の顧客や クリエイターと出会えたからです。彼らの案件で協業することはもとより、彼 らが彼らの仲間を紹介してくれることで、スピード感を持って仕事ができるよ うになってきました。 画像:中国のホテル http://pdweb.jp/editorsnote/1801_hotelwind.jpg 写真は福建省南部の廈門市(アモイ市)にできたホテルです。我々は専用家具 や照明をデザインしたのですが、このホテルが評判を呼び、昨年からは南京の 国立公園内にあるホテル2件のプロジェクトがスタートしています。欧州のデ ザイナーも招聘して来年の完成を目指しています。 台湾では、老舗の家電メーカーさんと仕事をさせていただいています。 https://www.taiwanexcellence.org/en/award/product/35652 分かってもらうことをあきらめるというのは、裏を返せば限られた時間の中に あって、分かってもらえる相手ともっと濃い時間を過ごしたいという私の想い です。魚嫌いな人に寿司の旨さを説きながら会食してもつまらないですし。 石橋忠人/有限会社アイディーエル http://www.idlab.jp/ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「デザイナーズFILE 2018」 毎年、年明けのこの時期は、弊社刊行(発売ボーンデジタル)の「デザイナー ズFILE 2018」の制作の追い込みに入っています。そして今年もデザイナー、 建築家の皆様の新作、力作をもうすぐお届けできると思います(3月上旬に全 国有名書店およびアマゾンなどネット書店にて発売)。 皆様の作品、製品を拝見していつも感じるのは「デザインは明日を内包してい る」ということです。もちろん過去も伝承されているのですが、デザイナーの 目線は、今よりも常に明日に向けられている気がしています。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●pdwebなどの2018年度媒体資料のご案内 pdwebなど弊社の媒体資料の2018年度版を作成しました。広告やプロモーショ ンを検討されている企業様は以下よりダウンロードお願いいたします。 http://pdweb.jp/info/MEDIADATA_colors_2018.pdf お申し込み(お問い合わせ)メールアドレス→ info@pdweb.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 ○2018年です。本年もよろしくお願いいたします。今年はプロダクトデザイン や建築の世界にとって、IT業界、家電業界、自動車業界、インテリア業界、建 築業界などなど…どんな年になるのでしょう? 何か時代を大きく牽引するよ うな、大ヒット商品など誕生しないかなと期待しています。ブルーオーシャン は案外とても身近なところにあるような気がしています。(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.94 2018年1月22日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛