┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第84号・・・2017/3/24       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第84号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第60回:竹田克哉/TAKEDA KATSUYA DESIGN ●編集長のミニコラム 「デジタルカメラの明日」 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第60回:竹田克哉/TAKEDA KATSUYA DESIGN はじめまして、TAKEDA KATSUYA DESIGNの竹田克哉です。ミラノを拠点とし、 世界各地でプロジェクトを手掛けるインテリアデザイン会社の代表兼デザイナ ーです。 インテリアデザインとはある限定された空間をデザインすることです。それは ただ単に壁、床、天井などの仕様を決めていく作業ではなく、用途によって空 間に求められる「雰囲気」を生み出す作業なのです。空間に存在するすべての ものは、細部に至るまでその雰囲気を作り出す大切な要素となります。よって 各部分の造形は、空間全体を貫くデザインコンセプトから導き出されるもので なければなりません。まずその全体像から考えていくのが、私のやり方です。 ●ミラノを拠点に世界各地のインテリアデザインを手掛ける イタリア国内および世界各地にプロジェクトを抱えているので、常に旅をして いる生活です。 イタリアからアジアや北米にも機中1泊現地2、3泊の強行スケ ジュールで旅をします。その度に業務の合間を見て、 睡眠時間を削ってでも その土地をできるだけたくさん歩き回ります。未知の土地の、自分の作品が作 られる土地の、文化や醸し出す雰囲気を知りたい、体感したいと言う欲求が睡 魔や疲労に勝るのです。すぐにタクシーなどに乗らず、自分の足で歩きながら 街やそこに暮らす人の生活を観て、土地の食べ物やお酒を味わうことで、その 場所に実際行かないと分からないことを、五感を使って体験できます。この体 験が、その後のデザインの新しいアイデアの引き出しの1つになり、さらなる 奥行きを作品に与えてくれていると思います。 このように仕事で各地を巡りながら、さまざまな空間デザインを見る機会にも 恵まれていますが、残念なことに奇抜さだけが目を引き、全体的なまとまりに 欠けるものが少なくありません。しっかりとしたコンセプトのない空間作品に は、構成要素を見ても、何故ここにこのマテリアルなのか? 何故この色形な のか? この照明なのか? などの答えが見えてこないのです。作り手のメッ セージ性がある空間作品には、個人的観点からの好みはさておき、何か引きつ けるものがあるのです。 しかしデザインの基礎となるコンセプトを設定する際、私が着想の起点とする のは、まずクライアントが空間に求める用途や目的です。彼らの好みや個性を 理解した上で、彼らとの信頼関係を築くことが、良い空間作品を実現させるた めの私のデザインの基本です。さまざまなクライアントの、それぞれ違った要 求を自分なりに解釈し、コミュニケーションから得たインスピレーションを頼 りに、過去の経験から得た自分の 引き出しのどの部分を使ってデザインする かを決めていきます。自分自身の個性を全面に押し出すタイプのデザイナーで はないと思っています。 我が社がもっとも多く手掛けるデザインがリテール空間です。この空間用途の デザインでもっとも重要なポイントは、当然ですが "商品ありき" ということ です。 何度も打ち合わせを重ねブランドがその店で販売する商品の世界観を理解し、 その魅力を最大限に引き出すようにデザインコンセプトを練っていきます。商 品について深く検証することで、自然志向か高級志向か、若者か中高年か、な ど自然とターゲットとされる客層も理解でき、デザインの方向性が見えてきま す。クライアントは新しい店のコンセプトを求めてデザインを依頼してきます。 商品の世界観に私と言うデザイナーの感性が加わり、新たな空間デザインのコ ンセプトが生まれます。そこからは自然に、展示方法や什器などのディテール がパズルのピースがはまっていくように決まるのです。 結果、客にこの商品が欲しいという気持ちを掻き立たせることができれば、 "売る"と言う本来の空間目的が達成され、私の仕事も成功したことになります。 一見洗練していて綺麗だけど全然売れない店というのは、インテリアデザイナ ーが店の意匠的な美しさだけに拘り、商品を蔑ろにした結果でしょう。 ●日本人的な精神の柔軟性がグローバルな仕事につながる 我々が拠点をおいているミラノは、もはや家具業界だけには限らない大規模な デザインの見本市となったミラノサローネや、ミラノファッションウィークと 称されるファッションブランドの新作発表会などが開催される世界的な流行の 発信地です。国際的なイタリア第一の商業都市で、グローバルに展開するブラ ンドのリテールデザインを担当する機会に幸運にも恵まれました。ラグジュア リーブランドのリテールデザインが、私のデザイナーとしての出発点です。ヨ ーロッパ各地への交通の便の良さが、ミラノから日帰りでの海外出張を可能に し、逆に海外のクライアントとの出会いの場も広げてくれます。世界万博が行 われたこともあり、ここ数年のミラノの変貌ぶりは目覚ましいしいものがあり ます。しかしイタリア経済はまだまだ良い状況にはありません。その中で デ ザイナーとして生き残ってこられたのは、不景気だからこそ日本人としての特 異性が評価され、仕事につながったからです。では、私の持つ特異性とは何で しょう? 私は海も山もある自然が豊かな九州の田舎で生まれ育ちました。町全体が家族 のような小さなコミュニティーです。毎日他人が家に上がり込み食卓をともに する生活の中で、私のコミュニケーション能力は養われました。美しい故郷の 原風景が、私のデザインの根底に流れていると思います。その後東京や大阪の 生活は体験せず、20代前半で憧れの地フィレンツェに渡り、大学生活を送りま した。今はミラノに拠点を置きながら、さまざまな土地でプロジェクトを行っ ています。異文化の中で異質な存在として生活して来た経験が、コミュニケー ション能力により磨きをかけました。 ミラノで打ち合わせをし、たくさんの資料を勉強し、各国の現場を訪れ、そこ で働くスタッフと食事をして対話を重ねる。私の制作活動は閉ざされた空間で の自己の追求実現ではなく、移動しながら人や環境との関係性の中で形成され ていきます。多様な文化的バックグラウンドを持つクライアントと、割とスム ーズに付き合っていけるのは、私自身に日本的な「思考の柔軟性」があるから ではないかと思っています。私の作品には共通する強烈な特徴と言うものが見 えにくいかもしれません。なぜならそれが私の制作の目的ではないからです。 私の作品のコンセプトは他者との綿密なコミュニケーションとそこから引き出 されるインスピレーションから生まれます。クライアントの要求や現場の条件 が困難であればあるほど、私の創造性は発揮されます。いかに問題を解決し、 空間の用途に合った「雰囲気」を作り上げ、完成した作品が空間目的を果たし、 クライアントに満足してもらうかが、私の仕事の醍醐味なのです。 日本人デザイナーだからと言って、和を全面に押し出した空間作りは意識して いません。ただ、私の日本人的な精神の柔軟性が、リテールデザイナーとして の評価につながり、グローバルな仕事の機会を得られているのだと思います。 しかし日本ではまだこれと言った仕事を残せていません。今後は活動の場を日 本にも広げ、12年のミラノを拠点とした制作活動を手みやげに、どのような仕 事の可能性があるのかを探っていくつもりです。旅はまだまだ続きます。 竹田克哉 TAKEDA KATSUYA DESIGN http://takedakatsuyadesign.com ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「デジタルカメラの明日」 久しぶりにコンパクトデジタルカメラを買った。量販店の店頭を歩くと、デジ タル一眼、ミラーレス一眼や高級コンパクトが並び、エントリー系の低価格帯 コンパクトデジカメは隅に追いやられている印象だ。それも無理はない。スマ ートフォンが一般用途のデジカメ市場を席巻しているからだ。 今回は「ポケットに入る普段使いのデジカメで、スマホより写真にこだわるこ とができる」をテーマに選んだ。目的のカメラは選べたと思うが、「カメラマ ニアではないけれどスマホでは物足りない」といった、私のようなニーズは少 数派なのだろうか? スマホ自体がそのニーズを吸収していく進化もあるだろ うし、たしかに難しい市場に思える。 ただ一番巨大な市場だけに、スマホでは実現できない、何か思い切ったアイデ アを持った製品が登場しないとも限らない。それが何なのか? 例えばインス タントカメラやプリンタ、プロジェクター内蔵など、ネット連携ではなく現実 との接点に目を向けても面白い気がする。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 今回は営業後記です。pdweb.jpではバナー広告などを掲載していただける企業 を求めています。プロデザイナーおよびプロ予備軍などデザインの世界に特化 した媒体ですので、専門的な製品なども承ります。ご興味のある方はお気軽に メールをお願いいたします。最新のメディアデータを送付して返信させていた だきます。ご連絡をお待ちしています。(M) 送り先メールアドレス→ info@pdweb.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.84 2017年3月24日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. 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