┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第80号・・・2016/11/25       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第80号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第56回:北川浩明/KUAV ●編集長のミニコラム ●編集後記 http://pdweb.jp/mailmag/kitagawa_01.jpg ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第56回:北川浩明/KUAV 〇Open End Project 相続・生産・譲渡 数年前、イタリア人の友人と話をしていて気づいたのですが、私が格好良い、 美しいと感じる、彼らが身に着けている服や、持っているプロダクト、住んで いる家(別荘)の多くは、祖父母や両親から譲り受けたモノが多かったのです。 さらには、それらの譲り受けたモノを、自分たちに合うようにカスタマイズし て使い続けています。 例を挙げるまでもなく日本にも当然、譲り受けたものをカスタマイズして使い 続けるという文化はありますが、高度経済成長以後、安価(かつ、中には性能 も良い)モノが蔓延しているため、子どもや孫にモノを相続するという概念が 薄れているように思います。住宅においては相続税が他国に比べて高いという 理由もあります。 古いモノが良いという懐古主義的なことを言いたいわけではありませんが、モ ノを作る人と、買う人の頭の中に、将来相続するかもしれない第三者(必ずし も親族だけではありません)がいるかという事は、大きな違いではないでしょ うか。 例えば、日本では多くの戸建住宅は相続されないため社会的寿命が20〜30年し かなく、その後は(まだ使えるとしても)取り壊されてしまうため、安価な建 売住宅や、個人的な趣味嗜好で家を建てる人が多いですが、ヨーロッパでは自 分の財産の価値を上げるために、個人的な趣味嗜好で家を建てるようなことは せず、売るときに高く売れるように(もしくは子どもや孫のため、さらには街 のため)第三者のことを考えている人が多いです。 日本では買った時が一番綺麗で価値を持っており、時間が経つにつれ、価値が 下がっていくという考え方が一般化しているように感じます。極端な言い方を しますと、エイジングという概念はあまり好ましくなく、メンテナンスフリー ということがメリットとなり、いつまでも綺麗な状態を保てるアンチエイジン グなフェイク素材が流行しています。日本だけでなく、イタリアにおいてもプ ロダクトや新築の建築において同傾向にあるように感じます(もちろん安価で 性能の良いものが手に入るという事実それ自体は卑下されるべきことではなく、 素晴らしい面もあると思います)。つまり、時間に関する感覚範囲もしくは射 程範囲が狭くなってきていように感じます。 私たちが進めている計画に「Open End Project」というものがあります。 上述したような、第三者の視点を入れて設計・生産するという未来に向けたベ クトルだけでなく、既存の物事をどう相続していくかという過去へのベクトル も含めて「時間を拡張」し、さらには設計・生産において各ジャンル(服飾デ ザイン、プロダクトデザイン、建築設計等)やコミュニティ(国、共同体)の 垣根を超え、「空間を拡張する」というものです。 既存の素材を使うとなると、それらをコントロールするのは大変難しいですか ら、従来の設計のように、先に図面や絵を描いて、後からカタログで素材を決 めるというような事はできません。(既存)素材や現場の性質・状況をきめ細 かく読み取り、設計する必要があります。ジャンルやコミュニティの垣根を超 えることも各々固有のやり方、慣習がありますので容易ではありません。 以下、簡単な説明ですが私達が取り組んだ事例を2つ紹介します。いずれも建 築の改修プロジェクトですが、新築プロジェクトにおいても「Open End Project」を計画しています。今後、建築プロジェクトにおいては、DIYだけで なく職人も含めた施工業態、生産方式を整えていくことが課題です。 (写真1、2) http://pdweb.jp/mailmag/kitagawa_01.jpg http://pdweb.jp/mailmag/kitagawa_02.jpg ▲賃貸ワンルームマンション改修プロジェクト、神戸市、2016年4月竣工。共 同者:西村周治/Lusie inc.、今津修平/MuFF、神戸大学有志、神戸芸術工科大 学有志、京都市立芸術大学有志 学生たちが住むワンルームマンションを不動産関係者、学生とともに考え、設 計・施工するというプロジェクトです。 通常、賃貸住宅では住人が変わると新しく壁紙を張り替えるなどし、新しい状 態に戻します。また、住人が釘を打つなどしてカスタマイズすることは許され ないケースが多いですが、この改修では、学生たちが神戸にある廃材や既存素 材を利用して、住み手がカスタマイズできるような壁収納を作りました。住宅 にデフォルトで、ある種の「粗さ」が存在することで住人が手を加えやすくな る、つまりは住宅にコミットしやすくなると考えました。 (写真3) http://pdweb.jp/mailmag/kitagawa_03.jpg ▲マンション改修プロジェクト、芦屋市、2016年6月竣工。共同者:今津修平/ MuFF、川原康弘/たかとり工務店 築40年のマンション特有のプランや和室の存在、荒々しいコンクリートの躯体、 既存床材、建具などを、どう相続していくかが1つの課題となりました。 そのまま相続するのではなく、例えば、和室では、サイズ(減築)や素材を変 え、床の間に穴を空けるなどカスタマイズしました。改修プロジェクトにおい ては解体して初めて分かる不確定要素が多く、現場や素材の状況を読み取り現 場で変更、設計、決定する場面が多かったです。 従来のマンションにはない(床の間に空いた穴、キッチンと脱衣間の開口を含 む)3つの抜けにより空間を拡張した解放的なプランにはなっていますが、将 来における変化に対応できるよう建具を設置しています。 北川浩明/KUAV http://kuav.net/ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「経験でしか身に付かないもの」 デザインに限らずですが、仕事は目に見える表面的な部分で成り立っているわ けではなく、それを支える裏面的なノウハウがあると思います。裏面は学校で は学びにくいし、現場に出ても一朝一夕には覚えられるものではないと思いま す。 表裏を両面身に付けて、初めて一人前なのでしょう。若い人は、どうしても表 面に目を奪われがちです。今回の東京デザインウィークで起きた悲しい事故に 関して、学生をはじめスタッフなど直接関わった人たちだけではなく、指導者 も辛いと思います。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 ドコモがiモードの端末の発売を終了するというニュースを見かけました。い まだガラケー所有の身としては寂しいモノです。私自身、タブレットではiOSも Androidも利用しているので、スマホに移行するのは簡単なのですが、現在の スマホのバッテリー駆動時間の短さと3大キャリアの通信料金の高さに納得で きず、ここまで来ました。MVNO(格安SIM)にするという手もありますが、そ れも踏み切れません。さて、どうするか? 結論は来年に持ち越します(笑) (M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.80 2016年11月25日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛