┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第64号・・・2015/7/24       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第64号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第40回:奈良雄一/能登デザイン室 ●編集長のミニコラム 「リーダー不在のプロジェクト?」 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第40回:奈良雄一/能登デザイン室 ○時計という道具 初めまして、能登デザイン室の奈良と申します。 最近NHKの連ドラ「まれ」で注目を浴びる? 石川県能登半島の輪島からほど 近い能登島という島でデザイン事務所を運営しています。 9年ほど前にこの能登島に移住し、デザイン事務所の看板を掲げようと思った のですが、同業者の有無を知るために電話帳をめくってみてもデザインの文字 は能登半島には見当たらなかったことを記憶しています。そんな場所でしたの で、この地域ではデザインがなにかということ、商品を作るにもデザインが必 要なこと、ましてやお金を払ってデザイナーに依頼するということ、デザイン という概念自体が存在していなかったと言っても過言ではないと思います。 その当時、デザイン事務所を開いたのはいいけれど、もちろん仕事を依頼して くれるお客さんはいません。そんな時、以前から個人的にデザインを提案して いた富山県高岡市の時計メーカー、タカタレムノスの高田社長から社内でアル バイトをしてみないかとのお話をいただきました。というのも、それよりもか なり前から時計のデザインを幾度となく提案してはいるものの、一向に商品化 には至っていませんでした。会社の内部から商品がどのように出来上がってい るかを知ることが時計のデザインをする上で役に立つのではないかという高田 社長の言葉に誘われて、生活のためもあって能登島からお隣の富山県まで通い ながら働かせていただくことになったのでした。 そこで経験できたことが自分にとってデザインをする上での土台となり、現在 仕事を継続できていることにつながっていると思います。そこで、タカタレム ノスで経験させていただいた、時計をデザインするということについて自分な りに考えて見たいと思います。 時計というと皆さんはどんなものを思い浮かべるでしょうか。丸くて、1から 12までの数字が書いてあり、時分秒を刻む針が真ん中に付いている。そう、時 間を知るための道具です。そのかたちは数百年前から根本的には変わっていま せん。時計のかたちが変わらずに今日まで残っていることも、時計という道具 の特殊性によるのでしょう。考えてみると時計はとても変わった道具です。道 具と言っても人が手にとって使うものでなく、それによって利便性や快適性が 得られるものでもありません。どうやって使うかというと、時計を眺めて、時 間が分かるいう、ただそれだけのことです。ただそれだけの道具「時計」はど うデザインされるべきか? デザインを始めてみるとその奥深さにどんどん引 き込まれて行きました。 まず、時計は形だけ決めればいいものではありません。3本の針と12個の数字 がレイアウトされたものを見て、針が今どの位置を指し示しているということ を利用者が分かりやすいように、グラフィカルに表現する必要があります。そ れは、3次元の形を扱うことを主とするプロダクトデザインの範疇というよりは 2次元、グラフィックデザインの要素でもあると言えます。そして利用者が単 に針が指し示す時間が分かればよいというだけでなく、その時計を使う人の空 間の中でちょうどいい具合に居場所を見つけられるようでなければなりません。 その具合の良さを測るものさしは人それぞれ、本当であれば人がいる空間の数 だけ時計のデザインがあってもよいのかもしれません。 時計をある空間に置くということはとても主観的な行為です。置く人はその時 計を見る人(家に置く場合は自分や家族、公共の空間に置く場合にはその空間 に居合わせる人達)を想定し、その人が迷わずに時間を知れるように、その空 間に合うように時計を選びます。時刻を知ることだけのために時計が必要なの であれば、時を知るための究極のデザインは針をもつ現在の時計の形とは限ら ないでしょう。現に人は学校のチャイムでも時刻を知り、常に持ち歩く腕時計 や携帯で時刻をチェックしテレビの画面にも時刻は表示されています。それな のに今この時代、人は形ある時計を購入し、自分の部屋の壁に掛け、ダイニン グルームでは家族で同じ時計を眺め、ベッドサイドには携帯ではなくアラーム 時計を置きたいという人もいる。そんな形ある時計が必要な理由はどうしてな のか、それが知りたくて時計のデザインをしていると言ってもいいと思います。 もちろん時計を商品として成立させるためにはさまざまな条件があり、そのす べてがデザインの対象であるとも言えます。時刻は読み取りやすいか、針とグ ラフィックは個性的か、グラフィック的な要素に時計の素材と形態の雰囲気は 合っているか、その形態を作るにはどんな技術が必要か、製造工程に無理はな いか、マーケットはあるか、デザインは金額に見合っているか等々。 プロダクトとして量産にこぎ着けるまでのハードルは他の商品と同様に数多く あります。それらの条件1つひとつを取り出して、新しいアイデアを試みてみ ても新しい商品としての時計は生まれてくるでしょう。時計のあり方を根本的 に変えるようなブレイクスルーはまったく別の分野から生まれるかもしれない。 しかし、そのどちらでもない、時計と人との間にある時間を介した関係そのも のを考えること、かつて活版印刷が主流だった時代に職人が活字を1つひとつ 拾い、活字を組んで版を組んでいたように、その文字の1つひとつが文字通り 重さを持って紙に刻印され、インクと文字の陰影を静かに辿っていくことがで きる、そんな時間との関係そのものと言っていいようなものに僕の興味は向い ているようにも感じています。 昔から見ている当たり前の道具である時計、しかし僕らはなぜ時計が必要なの かということに少し目を向けてみると、かように変わった道具は時計の他あま りないように思えるのです。 奈良雄一/能登デザイン室 http://www.notodesign.jp/ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「リーダー不在のプロジェクト?」 ザハ・ハディド氏のデザインによる新国立競技場が白紙となった。個人的には 建設費の問題より、東京・千駄ヶ谷周辺の環境において、ザハ氏のデザインは 収まりが悪いというか、違和感を拭えなかったので、仕切り直しは良い判断だ と思っている。 それと、東京で開催するオリンピックの建物であれば、国内の建築家のデザイ ンを採用したほうが、納得できる人も多いのではないだろうか。海外のデザイ ンを登用することはもちろん良いことではあるが、象徴となるメインスタジア ムを任せてしまうのは、どうもスッキリしなかった。 もう1つ。今回気になったのは責任者不在であったということ。新国立競技場 をどうするのかは、一国の首相の前に、現場のリーダーが判断すべきだったの ではないだろうか。 人が見えないプロジェクトには明日がない。次の展開に注目したい。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 オフィスのBGM用に、Bluetoothスピーカーを買ってみた。スピーカーが上向き にセットされているフィリップスの製品だ。ネット通販で購入したので、音質 ではなくデザインの好みだけで選んだ。そもそもこういった製品に高音質は望 んでいないので、iPhone/iPodで音楽を聴く手軽さを優先。そういえば最近は さまざまな音楽配信サービスが立ち上がってきた。まだどれも利用していない ので、何とも言えないのだけど、ミュージシャンへの敬意や対価が軽んじられ ないように成長していってほしいと思う。(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.64 2015年7月24日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛