┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第43号・・・2013/10/28       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第43号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第19回:小藤宗相/鍛冶工房弘光 ●編集長のミニコラム 「ハードとソフト」 ●pdwebデザインコンペ2013の締切は10月31日(木)です! 終了のため削除しました(2014年1月20日)。 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第19回:小藤宗相/鍛冶工房弘光 ○つながり〜技術の存続 島根県東部の山あいの地で鍛冶(鍛造)作品の製造に取り組んでいます(デザイ ナーと名乗れるような立場ではありませんが、作品の製作の背景と思いについ て書かせていただきます)。 もののけ姫で知られる“たたら”師をルーツに父で10代を数え、先代はそれぞ れ大鍛冶、小鍛冶、野鍛冶、刀鍛冶と、鉄に関わり続けながら時代のニーズに 合わせ業態を変えてきました。 しかし戦後まで農機具、刀剣ともに生活の糧としては十分だった環境も、高度 経済成長を機に激変し、周辺で20軒近くあった同業は次々と廃業していきまし た。同様に私の工房も従来の需要が激減し、苦渋の決断を迫られました。私が 小学生の頃でした。 祖父と父は刀匠の資格を持ち、技術と時間は十分にありましたが、その技術を 活かす道が閉ざされていくなかで、まさに藁にもすがる思いで鉄製灯火器の復 元にその活路を見出そうとしました。 2人は江戸時代〜明治時代のさまざまな作品を忠実に復元し、そして独自の機 能、サイズ感、造形の工夫を組み込みオリジナルの作品に昇華させていきまし たが、世の中が電化していく中での灯火器の製造など当然見向きもされず、私 自身も高校、大学と進学させてもらいながら苦しい家庭状況は変わらず、家業 を継ぐことをあきらめざるを得ませんでした。 ○伝統のデザイン〜価値の再認識 しかし社会人になってしばらくした頃、日本の道具の形、伝統、文化、技術を もう一度見直そうという視点で、首都圏の百貨店のバイヤー、デザイナー、イ ンテリアコーディネーターの方々から少しずつ声がかかりだしたのでした。そ してそれは、大量生産・消費の中で消えていくものに敢えて挑戦していた祖父 と父の取り組みが評価され、また先人がつくりだした形と機能美が見直された のだという強い思いを、私に抱かせてくれたのでした。 そこからは進む道は一つでした。会社員を辞め、工房で父のもとに弟子入りし、 技術の習得に励むこと。伝統の技術とその機能の持つ美しさに視座を置き、新 しい提案をしていくこと。 ○ヒント〜会話から生まれる形 こうして遠回りをしましたが、工房に入り16年目となりました。 今私は一年の半分を工房での製作にあて、半分を全国の百貨店、ギャラリー、 展示会の出展に費やしています。工房をホームとするならば、展示会はアウェ イということになります。毎年、20点以上の新作のデザインをしていますが、 実はそこにこのアウェイの力が大きく働いています。全国の多くのお客様と接 することでライフスタイル、価値観、生活の中でのインテリアの位置づけとい った重要なヒントをもらえているのです。 会話から生まれた新作を実際に見てもらい、その改善点、価格の適不適、プロ モーションの方法など、常にリアルタイムで、次のステップを肌で感じること ができる。職人といわれるものづくりに携わる立場で、その技法にこだわりつ つ自ら作品をデザインして市場に提案し、フィードさせるという一連の流れを 短い時間で完結させることが出来るこの環境はとても恵まれていると感じてい ます。 フラワーベース、キャンドルホルダーにも使用できる置き型の風鈴、かぶせ式 ではなく挟み込む形の蚊遣台、数本の細身の数台を寄り添わせることで完成す る燭台など、いずれも会話の中からイメージが生まれました。フライパン、鍋、 包丁といった生活用品は鍛造や鋳物で数多くありますが、鍛造品のインテリア 製品というのは意外と少ないのです。 特別に大学などでデザインを学んだり、関連する事務所等でスキルや知識を習 得したわけでもありません。プロのデザイナーから評価されうるものか正直自 信はありません。また機械がない時代からの鍛造技法にこだわることのマイナ スもあるかと思いますし、技術的に洗練されていないかもしれません。ただ、 あえて手作業で形にしていくデザイン、こうしたやり取りから醸成される作品 は、伝統の延長線上にある暮らしに寄り添う作品といわせていただけるのでは ないかと思っています。2012、2013とパリのメゾン・エ・オブジェへ出展し、 また2014の出展も決まりました。作品は海外の場でも高い評価をいただき、こ の根底におくべきものの価値について確信をもちました。 ○これから〜伝統の融合から生まれる形 ここ数年全国のものづくりの現場の世代交代が急速に進んでいます。それによ り、時代の流れの中で上記のような経験をしてきた同世代のつくり手との連携 も増え、培ってきた技術、感性を柔軟に融合しやすい環境になっています。 現在鍛造による鉄の素材性と、他のつくり手の技術と組み合わせた新たな作品 を別のレーベルとして提案していますが、作品の組み合わせ以上に感覚の融合 をより大切にし、大きく広げていきたいと考えています。 なぜならこの感覚の融合こそが、つくり手が伝統をつなぎながら新しいデザイ ンを生み出す源流になると考えるからです。 小藤宗相 鍛冶工房弘光 http://kaji-hiromitsu.com/ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム ハードとソフト 10月23日、アップルは新製品群を発表し、iPadも9.7インチRetinaディスプレ イ搭載で重量わずか469g(Wi-Fiモデル)、従来のiPadと比べて20%薄く、28 %軽くなった「iPad Air」が発表されました。 2010年、初めてiPadを見たとき、アラン・ケイのDynabookを思い出しました。 Dynabook構想は1972年に発表されているので(アラン・ケイ著「A Personal Computer for Children of All Ages」)、小型軽量のノートPCが登場するた びに、Dynabookを思い出していたのですが、iPadを見たときは、これこそ本命 と思いました。 さて、iPadやAndroidタブレットはDynabookを超えたのでしょうか? 改めて WikでDynabook構想を読んでみたら、以下の気になる一文がありました。「そ のシステムは、エンドユーザーが理解できるシンプルで均一なルール(メッセ ージング)と要素(オブジェクト)で構成され、このシステム自体をもユーザ ーが自由な発想で再定義できる柔軟性や可塑性を持ち合わせていることも肝要 である」。 おそらく、ハードウェアはアラン・ケイが思い描いていたデバイスを超えてい るのかもしれません。一方ソフトウェア(OS)は、iOSもAndroidも、Dynabook とは異なる進化をしているように感じます。 もちろんiPadやAndroidがDynabook構想を実現する必要はないのですが、現在 のユーザーはアラン・ケイが思い描いていた1972年当時の未来の人々より、受 け身なのかもしれません。あるいはデジタルデバイスと人との関わり方が、ア ラン・ケイの予想した未来とは少し違ってきているのでしょうか? 「ユーザーが自由な発想で再定義できる柔軟性や可塑性を持つシステム」。こ の、アラン・ケイのメッセージを、具体的にイメージすることができないもど かしさを感じています。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ///////////////////////////////////////////////////////////////////// ●pdwebデザインコンペ2013の締切は10月31日(木)です! 終了のため削除しました(2014年1月20日)。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 臨時増刊号でもお知らせしたトークショーですが、延期させていただくことに なりました。ご応募いただいた皆様にはまことに恐縮ですが、また改めて告知 させていただきますので、よろしくお願いいたします。(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.43 2013年10月28日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛