┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第42号・・・2013/9/27       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第42号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第18回:吉原敬司/有限会社吉原木工所 ●編集長のミニコラム 「デザイナーズFILE2014」のお知らせ ●pdwebデザインコンペ2013のご案内 終了のため削除しました(2014年1月20日)。 ●編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■トヨタ自動車様でのSpaceClaim活用事例など、10/8、10/11開催■■ 『SpaceClaim特別セミナー』の詳細およびお申し込みは以下リンクから http://www.cybernet.co.jp/spaceclaim/seminar_event/seminar/special2013.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第18回:吉原敬司/有限会社吉原木工所 ○職人の父と私 私の家は木工所を営んでいます。昭和33年の創業以来、木製家具・建具を中心 として注文に応じてあらゆる木製品を作ってきました。 当初は家の納屋を改造しただけの狭い作業場でのものづくり。設置された数台 の機械たちは幼少の私にとって「近づいてはならない危険物」でしたが、いつ も母が使っている「穴掘り機」だけは別。赤い帽子にエプロン姿の母が障子の ホゾ穴をあける横で、私は釘打ちの練習と称したアソビに夢中。父の道具袋を 内緒でゴソゴソしながら、忙しそうな母の横顔に何度も話しかけていました。 「今度、俺用の金づちこーてぇや。工場のは重たいけぇ、小さくて軽いやつ。 お父ちゃんには絶対内緒で!」 いつもそばにあった木のにおいと作る音。吉原木工所の末っ子として生まれた 私の幼いころからの夢は、兄と一緒に父の稼業を継ぐことでした。 ○伝統技術「組子」 「お前は人の出来ん仕事をする職人になれ。これからの金儲けとは、そういう ことだ」。 私が見習い工として北陸に弟子入りするとき、父がくれた言葉です。ずっと信 じてきたこの言葉に、私は何度も傷つけられ、そして何度も救われました。 私が習得した「組子」という伝統技術は、手間とコストがかかることから高貴 な和室の建具にだけ使われる特殊な技法であること。しかし、日本人が大切に してきた和室、床の間は時代とともに暮らしのなかに取り入れられなくなって いるという厳しい現状でした。 特殊な技術をもった職人。それはすなわち、わずかな人の需要や特定の地域に しかない文化のなかで生きるということ。地元だけにとらわれていたら、組子 は作れない。組子の技術を使って、建具以外にも製品を開発して売っていこう。 この日から組子職人による、組子デザイナーとしての挑戦がはじまりました。 ○職人とデザイナー お客様に買っていただかなくてはモノを作ることができない。技術も残ってい かない。とてもシンプルです。 組子を作りたくて仕方がない私は、仕事の合間を縫っては自分が想像するまま にあらゆる組子製品を作りました。行燈や屏風、ミニ衝立、組子家具、小物… 20代、組子が生かせる場所、モノを模索し手当たり次第作り続けました。 それから数年。職人の私がプロダクトデザイナーという職種の人と初めて関わ ったのは30歳を過ぎてからになります。田舎者の私にとって、「デザイン」と いう言葉がしごく取り留めのないモノに思え、最初はとても戸惑った記憶があ ります。 「お箸って、見方を変えるとただの棒なんです。ただの2本の棒が、使い方や 提案の仕方によって食事をする道具になる。つまり、物事に意味を持たせると いうのがデザインなんですね」。ラーメン屋で語る若いデザイナーの話に、私 は驚愕しました デザインという言葉が現代は簡単に使われすぎていて、その本質を全く理解し ていなかった自分。お箸も、障子も。全て意味があり、日本人の暮らしや文化 と密接な関係があること。そして、伝統といわれるモノ・コトは全て、ずっと 先人が培ってきたデザインによるものだということに初めて気付かされたので す。 それからの自分は、作る(創る)ことが怖くなりました。「概念(コンセプ ト)」が最も大切であるということを知ったからです。 ○リビング障子 自身が障子や組子欄間を作る職人でありながら、日本建築に失望していた時期 がありました。特別な障子や引き戸の仕事なんてもうない…そう悲観し創った 「しずく」という作品があります。曲線の造形をもったこれまでとはまったく 違う組子の明かり。私にとって初めてとも言える自信作でした。 ところが、この作品に目をとめてくださったのは建築設計士さんだったのです。 昨年夏、その方からのご依頼で鹿児島に新築された邸宅に建具を作らせていた だきました。生涯忘れることのできない初の大仕事。その方との出会いは、私 の人生を変えました。 あきらめかけていた建築というキーワード。この現場をきっかけに改めて建築 における組子の現代の在り方を見つめなおし、デザインした障子がこの度グッ ドデザイン賞を受賞したのです。 「リビング障子」。 和室や床の間といえば、子どもが遊んではいけないと言われた空間。しかし、 使いにくいとされる和室だけに障子をたてるのではなく、現代人が最も心地よ く滞留するリビングにこそ障子をたてて欲しいという考え方への発想の転換で した。組子欄間の技術を駆使し、リビングでも使える強度とデザイン性、そし て低価格な組子を実現したのです。 現代の暮らしに合った組子、職人の私が提案できる和モダンとはリビング用に デザインした障子だと気が付いたのでした。 ○職人として、デザイナーに望むこと 伝統工芸の衰退により、産地にデザイナーが入って工芸品を見直すという動き が近年急増しています。私もそういった形でデザイナーと関わることがありま すが、商品化までたどり着きかつそれが売れているケースは、私自身は今のと ころありません。(もちろん他社ではあります!) それでも、これからの日 本のものづくりは、デザイナーはなくてはならない存在だと私は思っています。 伝統工芸品をみると、どれも人の手がかかっていて素晴らしさが伝わってきま す。職人はその技術・意匠を伝えるために日々ものづくりに従事し、切磋琢磨 して技術を磨きます。 良さを知ってほしい…。振り向いてほしい…。伝えたい! しかし、それを求 める人の暮らしは常に変化しています。 建築に限らず、伝統的なモノ・コトというのは、その時代に生きる人々にとっ て心地よいからこそ受け入れられるもの。例えそれがどんなに優れていても、 柔軟さがなければ伝統はいつか途絶えてしまいます。 日本のものづくり職人が今、最も求められているのは、伝統を愛し、伝統にと らわれない精神。 「こだわりを持ちながら、新たな一歩に挑戦する」ということです。 デザイナーの観点、足し算と引き算、幅広い知識は今、職人のものづくりに新 たな光と希望を与えます。 有限会社吉原木工所 組子制作 吉原敬司 http://yoshiharawoodworks.com/ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「デザイナーズFILE2014」のお知らせ 9/19配信の臨時増刊号でもご案内させていただきましたが、改めて少し触れさ せていただきます。 本シリーズは、誠文堂新光社様から刊行した「プロダクトデザイン年鑑2008」 を始点とし、以降「プロダクトデザイン年鑑2009」、書名、判型を変えて「デ ザイナーズFILE2011」、「デザイナーズFILE2012」、「デザイナーズFILE201 3」と続き、今回で6冊目となります。そして2014年版からは「建築」も含めた ”立体デザイン年鑑”として内容を拡充します。 毎年少しずつ変化し、進化するモノ作りとデザイン。1年単位で見ると変化は それほど感じませんが、今改めて「プロダクトデザイン年鑑2008」を見ると、 時の流れを感じます。 「クリエイティブの断面を1年ごとにパッケージ」。そこに年鑑を作る意味を 感じています。 同時代を共有するデザイナーの皆様には、ぜひ本書へのご参加をご検討お願い いたします。 お申し込み方法など「デザイナーズFILE2014」の詳細は、9/19配信のpdwebメ ールマガジン臨時増刊号、あるいは以下のpdwebのお知らせページをご覧くだ さい。http://pdweb.jp/editor/index.shtml ※応募の締め切りは2013年9月30日(月)となっております。 ご質問、お申し込みなどは、以下のメールアドレスをご利用願います。 info@pdweb.jp 森屋義男/pdweb.jp編集長 ///////////////////////////////////////////////////////////////////// ●pdwebデザインコンペ2013のご案内 終了のため削除しました(2014年1月20日)。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 久々の秋葉原。中央通りは相変わらず賑わい、秋葉原らしい空気も健在です。 でも秋葉原のメインコンテンツは、ハードウェアからソフトウェアに主軸を移 している気もします。では一体アキハバラとは何だろう? AKBが秋葉原らし いのは何故だろう。そんなことを思いつつ、アキハバラデパートのあった場所 のカフェでこの後記を書いています。(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.42 2013年9月27日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛