┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第103号・・・2018/10/26       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第103号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第78回:荒木宏介/デザイナー ●編集長のミニコラム 「メディアの存在意義」 ●pdwebなどの2018年度媒体資料のご案内 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第78回:荒木宏介/デザイナー はじめまして。荒木宏介と申します。2010年多摩美術大学卒業、その後ロンド ンに留学し2013年英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)修士課程修了、 以後フリーランスとして東京を拠点に活動しております。 今回はせっかくの機会なので普段デザインする上で考えていることに加えて、 コラムの内容を考える中で気になったことについても書いてみようと思います。 ○MY CLIENT IS NATURE. 執筆内容について考え始めた今、ロンドンに来ている。RCAを5年前に卒業した 後なかなか訪れる機会も少なく今回で2回目なのだが、不思議と帰ってきた感 がある。そして良かったことも辛かったことも思い出される。 留学中、あるワークショップの始めに自己紹介がてら「あなたの生活において 大切なものを3つあげてみましょう」ということがあって、他の学生が家族や 好きな食べ物などを答える中、僕は1つ目に心の拠り所として「日本」、2つ目 にロンドンでは晴れが恋しく「太陽」、ここまでは良かったのだが、3つ目に ちょっと悩んでこれがないとそもそも困るよなと思い「地球」と答えたら、若 干きょとんとされて妙な空気になったことを思い出した。「それは生存という 意味で?」と聞かれてしまったので、カジュアルな自己紹介というトーンを少 し読み間違えたようだった。 その時の想いと重なる部分があるが、昨年「DESIGNING WITHIN THE NATURAL CYCLE」というタイトルで講演を行った。「自然の循環に則したデザインを考 える」というような意味である。小さな頃から地球温暖化などの問題に授業や ニュースなどで触れることが多かったからだろうか、環境についてよく思いを 巡らせてきた。過去の制作物には、食料廃棄の現状にもっと目を向けてもらう ために残菜から作った器や、海洋汚染も深刻なプラスチックの問題に対しては 代替として梱包資材に寒天を用いた提案などがあるが、ある日自分のもの作り のクライアントは自然なのだなと思った時にとても腑に落ちたことを覚えてい る。 現代はとにかく物で溢れている。飽和を超えた結果、物が大切にされず大量に 捨てられ続けている。例えば日々のさまざまなイベントや街中のウィンドウデ ィスプレイなど、一時の楽しみや華やかさのために、大量のごみが生み出され ることはどうにかならないものだろうか。環境への想像力を一切欠いた、単に 楽しいでしょ? 格好いいでしょ? 素敵でしょ? だけのデザインはもうさ れるべきではないと強く思っている。プロモーションとしての環境キャンペー ンではなく、言わずもがな共通認識として配慮のある計画がなされるようにな ることを願う。 ○”ノン”アノニマスデザイン 1956年頃にはアメリカで登場をしていたらしいアノニマスデザインという概念 について深く洞察をされたデザイナーとして柳宗理氏が有名だが、その意味す るところは柳氏の言葉を借りると「デザイナーがタッチしていない」用に徹し たデザインである。 量産型社会において日常生活ともの作りの現場の間には大きく距離があり、今 執筆している机の上にも、どこで誰がどのように作ったのか分からない物がた くさんある。用に徹しているかは別として、そういう意味でこれらも使用者に とってはアノニマス(無銘)なデザインだと言える。 SNSの浸透により流行の変遷が目まぐるしいが、先述したような一時的な享楽 のための環境的に望ましくない消費もそれに伴い加速しているように思う。ま さにスーパーファストファッションな社会である。一方で昨今、地産地消型の レストランがさらに注目を集めている。地域の生産者から食材を仕入れ、食器 なども地域の作家が制作したものを用いることで、コミュニティでのつながり と循環を活性化すると同時にその土地でしか味わえない雰囲気も生み出されて いる。 レストランでシェフと挨拶を交わすときのように、作り手の顔や作られた物の 背景にある物語などが見えると物事に想いが芽生える。SNSの発達によって個 人同士の交流も容易になったが、作り手と使い手との”ノン”アノニマスなつ ながりの回復が必要以上の苛烈な消費を抑えることの一助とはならないだろう か。 SNSの普及が浪費ではなく、物事との健全な関係性の再構築やあぶれているコ モディティのシェアを加速させてくれるといいのだが。量より想いという態度 が今一度見直されてほしい。 ○ヒトらしい暮らし つい先日ある番組で、AIやロボット技術の発展に労働機会を奪われ生活が苦し くなる人々が今後ますます出てくるだろうという話があった。当事者にとって はまさに死活問題だが、極めて客観的に未来の生活を見据えると、むしろ人の 生活は今より”人間的”になるのではないかとぼんやりと感じた。 というのも相対的に人同士が関わる仕事では感情や心理面への気配りがより重 要な価値基準になってくるのだろうと思ったからで、例えばレストランや喫茶 店、バーなどでは無人化が拡がる一方で、人とのコミュニケーションを取るた めの場としての性格がより重視された方向にも展開され、二極化が進んでいく のではないかと予想される。 機微に通じる、機転を利かす、機知に富むという言葉があるが、「機」という 漢字の説明には「心のはたらき。物事のおもむき」とあった。これからは他者 の内面や物事の背景に思い巡らせられる想像力がますます肝要になってくると 予感される。そう考えると技術革新によって近い将来必ず起こる変化をポジテ ィブに迎え入れられないか。そういう意味で、未来の人の暮らしはより”人間” らしいものになるのではないかと思ったがどうだろうか。引き続き自然とのつ ながりや人同士のつながり、自然の一部としての「ヒトらしい暮らし」につい て考えてみたい。 ○最後に最近の出来事についてお知らせが2つございます。 イギリスのデザインウェブマガジンDezeenが今年設立した「Dezeen Awards 2018」のEmerging Designer of the Year部門において最終候補者6名に選出さ れております。11月27日にロンドンにて受賞者1名が発表されます。 https://www.dezeen.com/awards/shortlists/2018/studios/ emerging-designer-of-the-year/ 10月22日より東京、六本木のAXISギャラリーで開催される展覧会「MATERIAL DESIGN EXHIBITION 2018」にて住友林業株式会社との協働プロジェクトを初披 露いたします。ご都合よろしければ是非ご高覧くださいませ。 http://www.mcx-mde.com 来春にはミラノやロンドンで開催される企画展にも出展予定です。詳細は来年 発表となりますが、そちらにつきましてもどうぞよろしくお願いいたします。 最後までお読みくださりありがとうございました。 荒木 宏介 https://www.kosuke-araki.com/ https://www.facebook.com/kosukearaki718/ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「メディアの存在意義」 よくネットの普及により出版や新聞などの紙媒体が落ち込んだという話を耳に する。各種データを見ても雑誌、書籍、新聞ともに売り上げは落ちてきている。 いまさらながら、やはりネットの普及と出版の落ち込みには、相関関係がある のだろう。現在、世の中のほとんどの情報はスマートフォンで入手可能で、ま た各種SNSなどコミュニケーション手段も充実している。 改めて紙メディアやTVなど従来メディアの存在意義を考えてみると、やはりい までも一次情報提供者としての価値は大きい。個人で発信できる一次情報には 限界があり、例えば近所で火事が起きたことをTwitterに書き込むくらいで、1 人では世界中のニュースをリアルタイムに知らせることはできない。 ネットではそういった一次情報への感想や肉付けが行われているが、一次情報 がなければネットで交わせるネタも激減するだろう。 問題は一次情報の信頼性の低下なのではないだろうか。新製品や食事の情報に 関してはステルスマーケティングやヨイショ記事が横行し、政治・経済絡みの ニュースでは各媒体のコンセプトに基づき報道されるので、ファクトそのもの が見えにくい。見方を変えると、昔から一次情報はノイズまみれで、ネットの 普及により一次情報の不透明度が目に付き始めただけかもしれないが。 利用者にとって出版、新聞などの一次情報は有料で、ネットで得られる二次情 報はほぼ無料である。一次情報の発信にはコストが掛かる。そこで有料コンテ ンツの提供者は、ビジネスとして成立させるための方策をいろいろ考えなくて はならない。しかしそれがなかなか信頼性に結びついていない。 一次提供者である出版はプロの世界であり、ネットで交わされる情報はアマチ ュアのオピニオン中心だ。そのプロとアマチュアの構造が混沌としているのが 現状ではないだろうか?  ただ、モノ作りはもちろん、料理や音楽など、どんな世界にもプロとアマチュ アは存在し、その差は歴然だ。出版の世界においてもプロの矜持を忘れてはい けないと思う。 ちなみに弊社は紙媒体とWeb両面で展開しているが、pdweb.jpもネット上の一 次情報提供者として、「面白くて役に立つ」情報をしっかり発信していきたい。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●pdwebなどの2018年度媒体資料のご案内 pdwebなど弊社の媒体資料の2018年度版を作成しました。広告やプロモーショ ンを検討されている企業様は以下よりダウンロードお願いいたします。 http://pdweb.jp/info/MEDIADATA_colors_2018.pdf お申し込み(お問い合わせ)メールアドレス→ info@pdweb.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 ○今年も残り2ヵ月。早いです。来年の展開をいろいろ練っているところです。 pdweb創刊11年、当時と時代はだいぶ変わり、スクラップアンドビルドの時期 なのかなとも思っています。(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.103 2018年10月26日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. 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