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3次元ダイレクトモデラー「ANSYS SpaceClaim」ユーザー事例

既存CAD環境の中においても
独自の存在価値を発揮する
「ANSYS SpaceClaim」の真価とは(前編)

パラメトリック系CADから一歩踏み出し、次世代CADを目指して開発された3次元ダイレクトモデラー「ANSYS SpaceClaim」。今回は、東京・渋谷でプロダクトデザイン業務全般を手がけるデザイン事務所、(株)シィクリエイティブのクリエイティブエンジニア、安達和也氏にANSYS SpaceClaimを使っていただき、既存CADとの役割分担、ファーストインプレッションなどを伺った。

株式会社シィクリエイティブ
シィクリエイティブは、1988年、元GKインダストリアルデザイン研究所の久住芳男、重野貴の2名によって設立された。プロダクトデザイン、グラフィックデザイン。プロデュース、セールスプロモーションの4つのサービスを軸として、ヒトとモノとの新たな関係を生み出すをコンセプトに総合的なデザインサービスを提供している。
http://www.c-creative.net/


取材協力:スペースクレイム・ジャパン株式会社
http://www.spaceclaim.com/ja/

●シィクリエイティブのデザインの特徴

−−まずシィクリエイティブの業務内容などからお話いただけますか? 御社はGKメンバーが独立後に設立されていますが、仕事内容もその流れを汲んでいるのでしょうか?

安達:弊社はプロダクトデザイン、グラフィックデザイン、商品のパッケージデザイン、コミュニケーションデザインまで総合的なサービスとしてトータルにデザインを提供させていただいています。GKからの流れもケースとしてはありますが、現状はシィクリエイティブ立ち上げ後の実績がベースになっています。

デザインするジャンルは、医療機器から雑貨、健康機器、生活用品、家電、家具、化粧品まで幅広く対応させていただいています。企画段階からご一緒したり、あるいはプロモーションまで関わらせていただいたりと、仕事内容はケースバイケースとなります。

−−オリジナルの商品展開はされていないのでしょうか?

安達:基本は委託業務によるデザイン作業ですが、やはりモノ作りをしているメンバーですから自分たちの作りたいものを世に問いたいという議論も出ていますので、今後そういった活動も視野に入れています。

自分たちをアピールする若い世代のデザイナーさんには感心しています。

−−シィクリエイティブのデザインの特徴はどういったところにありますか?

安達:GKグラフィックス自体がアノニマスデザインといいますか、自分たちのカラーを出さないスタイルでした。もし我々のカラーが出てしまうと「作品」のような形になってしまいます。プロダクトデザインは我々のものではなく、依頼先の会社がユーザーに向けて発信するものですので、我々はその会社のカラーを体現できるデザインを行っていきたいと考えています。

そのためにクライアントさんとは一緒にモノ作りを行うアプローチを重視しています。いろいろな会社のカラーに合わせて、我々がチェンジしていくスタンスです。

−−設立から27年となりますが、これからの市場におけるシィクリエイティブの狙いなどお聞かせください。

安達:モノ作り業界全体が、家電メーカーが元気だった時代から少し変わってきていると思います。出せば売れる時代でもありません。Gマークなどを見ていても、世の中にはデザインの優れているものばかりです。そこに提案力、新しい技術、革新といった提供価値が求められる。かっこいい、オシャレだけでは世の中の人に手にとってもらえない。ユーザーの現状ニーズを見るのではなく、あ、こういうのが欲しかったと、そういう「気付き」を持った製品が必要だと感じています。

今では、エンジニアの集団が新しい製品を作ったり、デザイナー志向のエンジニアもいらっしゃいますし、モノ作りのスタートラインは面白くなってきたと思います。

●シィクリエイティブにおけるCAD

−−3D CADはこれまでもお使いですが、これまでのCADに対して物足りなさや改善点を感じたことはありますか?

安達:長い間CADを使ってきていて、機能は進化しているのですが、CADとしては成熟期を迎えている印象を持っています。基本的な機能に関しては、どのメーカーのCADも満足できる状況だと思います。ですからどのCADを選ぶかは操作性の慣れが大きいのではないでしょうか。

悩み、問題点で言えば、最近のCADは自由曲面の編集など、自由な発想でモノ作りを行う機能が搭載されています。それはデザイン作業では有益な面もありますが、逆に設計者とのコミュニケーションで、自由曲面のデータの場合、「何故Rじゃいけないんですか?」といった拒否反応的なクエスチョンが返ってくることが多いです。

標準パッケージではできないこともたくさんあるのですが、逆に標準機能で意図した形状まで持っていくのもデザイナーのノウハウ、スキルだと思います。サーフェシングツールを使わなくても意図した形はできると思います。

−−なるほど、現状のCADはすでにほぼ成熟しているということですね。そういった状況の中、今回、ANSYS SpaceClaimをお使いになられて、ファーストインプレッションはいかがでしたか?

安達:正直、不思議な感覚でした。これまでパラメトリック系のCADを使っていたユーザーには、しようと思わなかったことができたり、まさかそんなことが、というようなことをいとも簡単にやってしまうCADですね。

導入の際にレクチャーを受けたのですが、そのときから頭になかったことが画面上に起きるので、少しカルチャーショックを受けましたね(笑)。

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話を聞いた株式会社シィクリエイティブ のクリエイティブエンジニア、安達和也氏
●できなかった修正が行えるツール

−−ANSYS SpaceClaimのダイレクトモデラーは、通常のソリッドモデラーをお使いのユーザーにはびっくりする感じでしたか?

安達:例えばSTEPデータを編集するのは大変だという先入観を持っていて、修正の際は先方とデータのやり取りを行うのが当たり前だと思っていました。データのラウンドを削除してしまうとか、寸法を変更してしまうとか、STEPファイルなら変更できないだろうを思っていたのですが、それが行えるのがANSYS SpaceClaimの強みなんですね。我々が思っていた常識が打ち破られていた。画面上の中ではユニークなことが行われていたのです。

−−従来のCADとはアプローチが異なるANSYS SpaceClaim、シィクリエイティブではどのような工程に投入されたのでしょうか?

安達:弊社ではデザイン業務だけではなく、広くCADユーザーとしてANSYS SpaceClaimのポジションを検討しました。ANSYS SpaceClaimはオフィスに1パッケージあると、必ず役に立つ、そんな印象を受けました。CADであり修正ツールであり、困ったときの手助けとなるソフトだと思います。「できなかった修正が行えるツール」そういった肩書きが似合うソフトではないでしょうか。

−−シィクリエイティブさんのメインCAD(CREO)を補完する役割ということですか?

安達:そうですね、お客さんから届いたSTEPデータをまずANSYS SpaceClaimで読み込み、画面上で確認、修正してそれを見ながら細部を詰めることができます。いままでそれは口頭でやり取りしていて、CADで行おうとも思わなかったのですが、ANSYS SpaceClaimによってそれが簡単に実現しました。

例えばCREOでは、データの修正はスケッチャーに入って数字を変更するのですが、ANSYS SpaceClaimでは画面上でドラッグしながら、触って引っ張ってという簡単な操作で修正が行えますので、かなりスピーディになります。また我々は意匠面の修正が主ですが、ANSYS SpaceClaimの得意なところは、例えばボスを削除、移動することですので、デザイン業務以外での活用も広がると思います。

また、パラメトリックのモデリングに慣れているユーザーは、1から形を作っていく志向が強いのですが、ANSYS SpaceClaimがあれば中間データの行き来ができるのかなと思います。

−−ANSYS SpaceClaimで修正したデータをCREOに読み込んで、パラメトリックなデータにすることも可能なんですか?

安達:CREOではパラメトリックであるが故の利点をいままで活用してきましたが、ANSYS SpaceClaimを活用するとなると、ユーザーの頭のチェンジが必要になるかもしれません。修正をANSYS SpaceClaim主導にすればそれは可能だと思います。


●シンプルなデザインの中にオリジナルの魂を埋め込む

−−あるいは、ANSYS SpaceClaimで初期の段階で構想モデリングを行い、それをCREOに入れるというワークフローはいかがですか?

安達:その場合、実はシンプルなデザインの中にもそのメーカーさんや我々のオリジナルな作り方を盛り込んでいます。我々は、世の中にはないデザインを生み出していくわけで、基本的ツールだけを使っていては他と同じになってしまうという恐れを持っています。

デザインでCADを使う場合、簡便に使うのではなく、遠回りしてあえて難しく使うことで、我々の独自色をCADの中で再生できないかと思っています。

押し出してラウンドして細部修正すれば誰にでも同じものが作れます。そこがいいのですが、デザイナーの視点では、オリジナリティのある形状が金型までいきますので、そこにデザイン性のユニークさ、形状データの独自性、面構成の新しさといったことを盛り込むのが我々の仕事の肝なのかなと思います。

−−簡単なモデリングですと、デザイナーの思いが込めにくい?

安達:ツールの使い方だと思うのですが、ANSYS SpaceClaimはまだ使い始めたばかりですので、熟達していけばまた違う見え方がしてくるのかもしれません。ANSYS SpaceClaimはまだユニークな機能しか触っていないので、もっともっと使ってみたいと思います。

−−実際にANSYS SpaceClaimでモデリングされたのですか?

安達:はい、ちょうど、コンシューマには出さないプロトタイプのモデルの仕事をいただきましたので、ANSYS SpaceClaimで図面化したり、お客様からのデータの修正など始めています。それはまた次の機会にお話しさせていただきます。


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▲3Dプリンタで製作できるような繰り抜き形状です。自由曲線で曲面を作成しシェルを行いました。(クリックで拡大


 

 

 

 

 

 

 

 

 




●複数CAD環境で生きるSpaceClaim

−−従来の修正の場合ですが、STEPファイルからCREOに入れて、それをパラメトリックに編集するように設定すると思うのですが、その操作は難しくはないのですか?

安達;CREOでSTEPデータを修正しようとすれば、ほぼできない状況です。CREOはコクリエイトを傘下に入れてから修正に力を入れますという話があったのですが、コクリエイトはオプション扱いですので、高いのです。これまでできなかったことを、ANSYS SpaceClaimによって解決できたということですね。

そういう観点から、モックアップメーカーや加工メーカーさんが、我々の作りこんだデータを作りやすいデータに形状変更する際などにもANSYS SpaceClaimは有効だと思います。データを一度シンプルにしてCAMに流す工程ですね。

−−同様にANSYS SpaceClaimは解析の前工程などにも有効です。履歴のあるCADの場合、いろんなフューチャーを組み合わせてすごく長くなってしまう。そんなときに修正があった場合、フューチャーがエラーを起こすこともあると思います。

安達;それは、パラメトリックのいいところでもあり、悪いところでもあります。エラーに付き合うのが身についているのですけれど、ANSYS SpaceClaimを使った後では、それがレガシーな考え方に思えてしまうんですよね。

パラメトリックである、拘束をつけてモデリングすることが、刷り込まれているのですが、ANSYS SpaceClaimを使うと、不思議な感覚とともに、いままでやってきたことがなんだったんだろうと、そうあるべきではないのかなと考えさせられてしまうのですね(笑)。

−−ただ、フィーチャー1つひとつが設計意図とかデザイン意図であるので非常に重要という考えもあり、それがなくなることへの不安もあるのでしょうか?

安達;それはケースによるかもしれません。例えばタービンで型番違い、性能違いの新モデルを作るとき、元々の設計思想の寸法を修正するだけで、意図は伝わります。基本設計を同一にしたまま修正できるのがパラメトリックのメリットだと思います。
ただ、我々のように次から次へと新しい製品を作っていくデザイン業務ですと、履歴のあるなしはあまり重要じゃないかもしれませんね。

−−パラメトリックモデルですとリソースマネージメントしやすいと思いますが、ANSYS SpaceClaimですと常に新規のモデリングを行う。そういったリソースのあるなしは大きいですか?

安達;そうですね、結局パラメトリックがいい、ダイレクトモデリングがいい、ということではなくて、今あるCADシステムにオンする形でANSYS SpaceClaimを用いるのが良いのではないかと思っています。困ったときの手助けとなる修正ツール。弊社にとってはまずそういった位置づけです。

当然デザイン事務所が最初にCADを導入する際の選択肢としてもANSYS SpaceClaimは有効だと思いますが、すでに何かのCADをお使いのオフィスでもANSYS SpaceClaimの良さを生かした立ち位置があると思います。難しいこともさっとやってしまう点が良いです。

アセンブリなども、ANSYS SpaceClaimでアセンブリしておいて、サーフェシングはCREOでやってしまうとか、導入して使い方さえ決めてしまえば、ANSYS SpaceClaim主導で行うことも問題ないと思います。

−−なるほど、メインCADや複数CADがすでに存在する環境、あるいは最初のCADとしても、ANSYS SpaceClaimの独自の立ち位置、利便性は生かせるということですね。

●3DプリンタとSpaceClaim

−−ANSYS SpaceClaimには3Dプリンティング機能も搭載されています。

安達:はい、3DプリンタのポリゴンのSTLデータの修正のサポートされているとのことで、そういった点でも期待できるソフトですね。3Dプリンタはもともと試作モデル用でしたが、今では製品レベルの出力になってきていて、小ロットの場合など有効です。

3Dプリンタの出力時においては、特にリダクション、リデュース、データを軽くする機能が重要になります。

出力物の重量、イコール材料コストになります。そこでいかに軽く、素材を無駄なく使って出力するかが大切です。軽くするための抜き方も意匠に影響してきます。その機能もまだまだ進化する過程だと思いますので注目しています。。

−−さらにANSYS SpaceClaimは、リバースエンジニアリングにも対応しています。3Dスキャナなどで読み込んだ点群データをSTLに置き換えて、それからサーフェースに置き換えることも可能です。

安達:ANSYS SpaceClaimは機能が豊富なわりにコストパフォーマンスが圧倒的です。まだ十分使い込んでいないので、すべての機能の有効性までは語れないのですが、これだけのスペックでこの価格というのは類を見ないCADだと思います。

−−ありがとうございました。


以下後編に続く。

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▲3Dプリンタでの出力を前提にしたデザイン事例。紙をランダムに丸めた形状をそのまま生かしたスマートフォンスタンド。(クリックで拡大)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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